外来

武田病院での低侵襲消化管検査の取組み

大腸CT検査 CTコロノグラフィー

大腸がんにかかる人(罹患数)は急増しており、食生活の欧米化が大きな要因と考えられています。また全がんによる死亡数のうち、大腸がんが女性では第一位、男性では第三位となっています。

大腸がんは早期発見できれば治療成績は非常に良く、無症状のうちに検査することが重要となります。

大腸がんに対する一次検診として行われる便潜血検査は、非侵襲的・安価簡便で、有用性も証明されています。便潜血検査にて陽性となった場合には大腸内視鏡検査による二次精密検査が必要ですが、心理的・身体的負担が高く、実際に検査を受診する割合は50%程度にとどまっているとのデータがあります。

1.CTコロノグラフィーとは

CTによる大腸検査であり、ある程度の洗腸処置および専用の炭酸ガス自動注入器による大腸拡張を行い、高性能CTで撮影します。ワークステーションで専用の大腸解析ソフトにより様々な再構成画像を作成し、評価します。
CTコロノグラフィーは1994年に最初に報告され、その後欧米でその有用性や検査精度が大規模に証明された結果、急速に普及し、米国がん協会等の合同ガイドラインでも50歳以上の大腸がん中リスク者のスクリーニング検査として、5年に一回の実施が推奨されるに至っています。

2.CTコロノグラフィーの検査精度

2003年Pickhardtらの報告によると、10mm以上のポリープ検出率は93.8%、特異性は96.0%と、内視鏡検査と遜色ない結果でした。5mm以下の小さなポリープや平坦な病変は検出しにくいですが、一方で5mm未満のポリープが悪性であることは少ない(0.1%程度)とされています。なお、内視鏡検査と異なり、CTコロノグラフィーでは腫瘍の色調・表面構造の詳細な検討や、組織をとって(生検)病理診断を行うことはできません。

3.CTコロノグラフィーの安全性

内視鏡検査より少量の下剤服用で済みます。また大腸の拡張には注入量や腸管内圧の安全を保つ専用の炭酸ガス自動注入器を使用します。
X線被ばくに関しては、CT装置の進歩や逐次近似応用画像再構成法などの被ばく低減技術により、バリウム注腸X線検査よりも少なくてすむようになっています。

4.CTコロノグラフィーの位置付け

大腸内視鏡検査に置き換わるものではありません。これまで大腸の検査をためらってきた方々の選択肢のひとつとなり、大腸検査の受診率向上、ひいては早期発見治療により大腸がんで亡くなる人がもっと減ることを願っています。

  • いままで大腸内視鏡検査が怖くて受けておられない方
  • いままで大腸内視鏡検査を受けたことがあり、苦痛だった方
  • 検便で潜血反応陽性だったが精密検査をためらっている方
  • 腸が長い、癒着している、腹部・婦人科の手術歴がある、などで大腸内視鏡検査が困難な方

以上のような方々に、大腸CT検査はおすすめです。消化器内科へご相談ください。