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新着情報

レポート 2014/05/07

第7回地域医療連携PAD学術講演会が開催されました

■第7回地域医療連携PAD学術講演会
 腎機能不全の患者さんへのCO2造影や下肢病変
 最新治療について開業医の先生方と研修

report_takeda140507_1.jpg開業医の先生方との連携とともに、最新の医療情報を共有する第7回武田病院グループ「地域医療連携下肢閉塞性動脈硬化症(PAD)学術講演会」(康生会武田病院、下京西部医師会、下京東部医師会、大塚製薬株式会社共催)が4月19日、京都市下京区のホテル日航プリンセス京都で開かれ、下京西部及び東部地域の医師会の開業医の先生方や、武田病院グループの循環器センター医師、臨床工学士らが研修を深めました。

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下京西部、東部医師会の院長25人が出席。最初に下京西部医師会長の山下琢・山下クリニック院長が、「糖尿病の有病率の増加に伴ってPADの患者さんが増えており、当院でも足のしびれを訴える糖尿病の患者さんがおられ、検査をしたところ進行したPADとわかり武田病院にお世話になったばかりです。武田病院との地域連携のおかげで、しっかり研修をしたいと思っています」と挨拶されました。

report_takeda140507_3.png第一部では、循環器内科松原クリニックの松原欣也院長が座長を務められ、『CO2造影を用いたPAD治療』と題して、武田病院循環器センターの宮井伸幸医長が発表。武田病院循環器センターでは腎疾患患者さんの場合には、ヨード造影剤を用いる際の腎障害(約5%発症)を防ぐため、2011年からCO2造影を取り入れ、下肢血管病変を中心に226症例に及んでいることを明らかにし、危険因子として
・75歳以上の高齢者
・特に慢性腎臓病(CKD)の患者さん
―などを挙げました。

report_takeda140507_4.pngCO2(二酸化炭素)の優位性として宮井医長は、無毒性やアレルギーのないことや、酸素に比べて20倍も血液に溶解しやすく、コストもヨード造影よりも低い点などを強調、「腎動脈狭窄、CKDステージ3の77歳男性」「腎動脈の再狭窄、68歳男性」などのCO2造影の症例を動画で示しました。宮井医長は、「ただ、CO2造影は画像解像度が十分ではなく、末梢までの病態把握は困難になります。他の血管への障害の有無を確認するため、4ccと最小限の造影剤を用いていますが、腎障害をはじめ脳梗塞や吐き気といった副作用は起っておらず、腎症の発症予防につながっていると考えます」と分析しました。

report_takeda140507_5.png第2部では、康生会武田病院循環器センターの木下法之部長が『最近のPAD治療』と題して講演。木下部長は冒頭、武田病院循環器センターでは近年、心疾患だけではなく、生命予後が悪い閉塞性下肢動脈疾患患者さんが増える傾向にあり、患者さんの全身の血管病変の血管内治療を行うようになったことを報告。木下部長は、「片方だけの下肢の疼痛や、坂道や急いで歩く時に起こる間欠性跛行、10分程度休むことで痛みが和らぐといった患者さんの訴えの場合には、様々な動脈硬化疾患を考える必要があります」と、診断に当たっての留意点を述べるとともに、皮膚の色や両足の左右差の有無など、足の触診の大切さを強調しました。

 治療に関して木下部長は、大腿部から膝上までの疾患については血管内治療でのアプローチが選択されるが、膝下については困難な点も指摘。「特に膝下の患者さんの場合、状態の悪いケースが多く、バイパス手術やインターベンションいずれの選択でもリスクを伴います。ただ、近年はステントの開発が進み、当院でも狭窄部の改善が多くみられています」と、下肢病変を抱えた透析患者さんの症例を示しながら解説しました。