透析センター
透析患者の高齢化とサルコペニア
維持透析患者さんの数は上図に示すように増加の一途を辿っており、総数は34万9700人です。日本の維持透析患者さん全体のうち、75歳以上の方の割合が35%に達していて、新規維持透析導入患者さんも80歳台の方の割合が増加傾向にあります。
高齢化が進むとともに、各種合併症の管理だけでなくサルコペニア・フレイルを念頭に置いた栄養管理が必要です。サルコペニアとは、“加齢に伴う筋委縮”です。
末期腎不全の原疾患として糖尿病患者さんが多く、脳・心血管系疾患の合併率が高く、予防対策(一次予防、二次予防)が重要です。その他、アミロイド沈着などの長期合併症への対策や悪性疾患など加齢に伴う様々な併存病態に対処する必要があります。他診療科と連携をとって診療を行い、必要に応じて適宜、当グループ病院や他院をご紹介致します。
“元気に長生き!”を目標と考えると、維持透析療法を行う中で食事を中心とした生活管理が非常に重要です。
特にサルコペニアに抗って元気に過ごしていただくために、“しっかりと食事摂取し、しっかりと服薬し、しっかりと運動する”ことで栄養状態を維持しながらバランスをとることを目標にしています。管理栄養士が随時、透析室に出向いてきめ細かく栄養指導を行っています。
運動については、透析中の運動療法を実施していましたが2021年11月現在、“コロナ禍”の影響もあり中断していますが、腎臓リハビリテーションのエビデンスも徐々に蓄積してきていることも踏まえて再開予定です。
感染症対策
2019年末から世界を一変させた、新型コロナウイルス感染症ですが、維持透析患者さんは重症化する危険性があります。当院透析室では、1区画を仕切って半隔離可能な環境を構築し、新型コロナウイルス感染症疑い患者様も他の患者様へ影響が及ばないように対応してきました。
2022年1月~2023年5月の間において、維持透析患者様における新型コロナウイルス感染症確定患者様は入院管理で対応してきました。他院の維持透析患者様も受け入れてきましたが、透析患者様においてクラスター発生はしていません。
透析患者さんの長期合併症対策
透析室は十分なスペースと見晴らしの良い最上階フロアにあり、透析ベッドは50床あります。
透析設備としてはオンラインHDFが施行可能なクリーンな透析液を供給する水処理システムと、透析器には全自動コンソール(GC-110N)を採用しています。
血管石灰化の予防を意識して透析液は4号液(Ca濃度2.75mEq/L)を用いています。
近年、大量液置換の血液透析ろ過を行うことで透析患者さんの生命予後改善効果が報告されていますが、現在、保険適応がある大量液置換の血液透析ろ過はOnline HDFしかありません。
2023年05月現在、当院透析ベッドの全てがOnline HDF施行可能であり、体調に合わせて適宜対応しています。
2016年3月から皮膚灌流圧(Skin perfusion pressure:SPP)測定器を導入し、末梢循環障害のある患者様を早めに見つけ出し、必要に応じてLDL吸着療法を施行しています。また、血管内治療が必要な方は適宜、専門医にご紹介しています。
慢性炎症性腸疾患である潰瘍性大腸炎に対して顆粒球除去療法も行っています。適応については消化器内科での判断になります。
その他、透析以外の特殊な血液浄化療法として血漿交換、エンドトキシン吸着、ビリルビン吸着、白血球除去なども随時行います。
診療体制とスタッフ
京都南部で数少ない透析可能施設であり、腎臓及び透析の専門医が診療を行っています(月曜日~金曜日)。
血液透析用のベッドは現在、50床あります。月曜日~土曜日にかけて、90名あまりの血液透析患者様に対して1日3~5時間の維持血液透析(HD)を行っています。 月・水・金は午後3時30分から9時30分まで夜間透析も行っています。
腹膜透析の導入及び維持も行っています。
"腹膜透析+血液透析併用療法"にも対応しています。
土曜日の診療は非常勤医として京都府立医科大学泌尿器科から応援に来ていただいています。