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武田病院グループからのお知らせ

2018.08.08 すこやか健康相談 ヴィラ鳳凰居宅介護支援事業所 介護支援専門員 桝村 雅文 「常設認知症カフェの役割~社会参加・健康増進~」

※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。



常設認知症カフェの役割~社会参加・健康増進~

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ヴィラ鳳凰居宅介護支援事業所 介護支援専門員 桝村 雅文




認知症カフェとは?

認知症の人やその家族、地域住民、介護や福祉などの専門家などが気軽に集い、情報交換や相談、認知症の予防や症状の改善を目ざした活動などのできる場所と言われています。これは1980年(昭和55)に京都市で発足した、「認知症の人と家族の会」(旧称「呆(ぼ)け老人をかかえる家族の会」)が、30年以上続けてきた電話相談や会報の発行、集いの場の設置といった活動が発端と言われています。イギリスやオランダで2000年ころから、メモリーカフェやアルツハイマーカフェとして普及していた流れもあり、日本においても国が後押しする形で2012年ころから普及しており、現在は3000箇所近いカフェが全国で設置されています。2015年に国が打ち出した認知症の総合戦略「新オレンジプラン」では、「2018年度からすべての市町村で地域の実情に応じ実施する」との目標を掲げており、地域の医療やケアの窓口としても注目されています。

常設のカフェを運営するにあたり意識や注意していることは?

多くの認知症カフェは毎月1回または2回など決められた曜日等の開催となっ  ている現状です。京都府下においても約110~120か所ある認知症カフェの中で常設で運営しているものとしては一例目であり、全国的にも数か所にしかありません。 カフェほうおうでは常設という性質上、いつでも誰でも を対象とすることに際して如何に敷居を低く気軽に立ち寄り相談したり交流したりする場を作れるか、そのヒントは2月に訪問した仙台のオレンジカフェから得たものも多くありました。若年性認知症当事者である丹野智文氏やその支援者等が運営するオレンジカフェでは、「とにかく敷居は低く、ゆるく運営する」というモットーで進めておられました。そこではカフェに来られた方に対して、受付簿を書いたり、参加申込書のようなものもなく、病名や症状を問うこともありません。もちろんアンケートをとることもありません。 また専門職はどうしても「何かお困りごとはないですか?」というスタンス、切り口で介入してしまうことが多くありますが、その点についても困りごとを聞くのでなく、今できていること、したいことを聞くスタンスで、その中で困りごとを吐露してくださるケースがあれば、十分に聞かせていただいたり必要によってアドバイスや社会資源へのつなぎといった役割を果たせたらと考えています。 ただ、現状は日替わりで看護師や社会福祉士、介護福祉士やケアマネジャー、理学療法士などの専門職が担当している中で、相談等受けた際に、個人情報等も含めてお知らせいただき継続した相談支援等に繋がるケースもあれば、適宜相談に来られるケースもあります。簡単な記録等は残しておくのですが、その情報がなかなか繋がらないこともあり、8月以降は専任のコーディネーターとして配置されることで、その繋がりという面は少なからず解消していくかと考えています。 このような日常的なカフェの在り方が主となる中で、イベント型のカフェとしての役割も期待されるところであると考えており、宇治市内にはレモンカフェという認知症カフェが平成25年度から各地域包括支援センター単位で運営されており地域に根付いた居場所として広がりを見せており、そこから学ぶこと、連携できることも多くあると考えています。

実際に開設から現在に至るまでどのような社会参加や健康増進につながる取り組みがありましたか?

カフェに来られる方の多くは、クリニックに受診された方やその家族、また併設の介護サービスを利用されている方が占めていますが、地域の方が立ち寄られること、また居場所として活用されることも増えていたり、地域包括支援センターや社協、福祉サービス公社や市役所等の地域の専門職がミーティング等に活用され、新たな繋がりが生まれることも増えてきています。 また、宇治市認知症アクションアライアンスの活動場所としての活用で、認知症当事者や家族による就労活動として、茶摘みのイベントや万願寺トウガラシの収穫イベントについて、収穫後にカフェにて作業をしたり交流会をしたりする拠点として活用いただいています。その中で、クリニックの患者様や地域住民等で、今までそのような活動にかかわっていなかった方、また知らなかった方が新たな繋がりとして広がりを見せており、まさに社会参加や健康増進へと展開していけるきっかけになっていけるのでないかと期待しています。またそれらのイベントのように、従来から宇治市や宇治市福祉サービス公社等が展開されていた活動に関して、その拠点として活用していただく取り組みとは別に、先日は当法人内でワーキングチームやサークル活動として企画検討を重ねてきた中で、「地域回想法」のイベントを開催し幼児、小学生や高校生から高齢者まで世代も幅広い60名を超える参加者がある中で、認知症当事者や宇治市歴史資料館の協力もあり盛会とすることができました。 今後も社会交流の拠点として、また健康増進につながる企画等もしていき、それらをうまく情報提供や広報していくことで、地域の中のつながりを増やしていく取り組みが今後より活発になることが目標であり課題であると考えます。

クリニックや居宅ケアマネジャーの事業所と併設しているという特徴もありますがそのメリットや実際の連携事例はありますか?

認知症の疑いや不安をお持ちでクリニックに来院された本人や家族の方においては、今後どのような病状の変化が予測されるのか、生活に変化があるのか、介護保険制度やサービスにおいてどのような支援が期待できるの、など先行きに不安が見られるケースも少なからずあります。 その中で、診察後もしくは診断後すぐにケアマネジャーが制度に関する説明や、医師や看護師からの助言や情報提供も受けたうえで、今後の不安等を軽減すべく相談窓口として機能することができると思います。従来の認知症ケアにおいては診断後から介護保険サービス等のケアにつながることにタイムラグができてしまう課題がありましたが、そのタイムラグを短縮し、診断後すぐに伴走者としてケアマネジャーがかかわれる体制に期待したいと洛南病院の森先生からもご意見いただいたことをイメージに取り組んでいけたらと考えています。 実際には4月以降10数件の介護保険相談に当事業所のケアマネジャーが対応しており、介護保険制度のこと、サービス利用のこと、認定申請のお手伝い等の支援につながっている事例が多くあり、今後も増えることが予測されていますので、ケアマネジャーとしても従来の支援はもちろん、認知症ケアに関するサービスや情報の引き出しを増やしておく必要があると考えています。

社会参加や健康増進というテーマを考えた時に今後このカフェがどのような場所になれば良いかと考えますか?

カフェがオープンして4か月あまり経過し、様々なご意見やご要望をいただく機会がありました。また少しずつ課題や成功体験を明確に増やしていくこともできてきたかと思います。その中で、一つは認知症当事者の方、家族の方が、このカフェを拠点に様々な活動や交流を、最初はセンターの職員等もうまく巻き込みながら、やがてはそれぞれが自発的に自由に交流できる場所になっていけたらと考えます。具体例としては当事者グループの運動機会として、テニス教室の開催を月に2回程度実施されており、その活動の後の、ちょっと一息、お茶飲み場やランチの場所として当カフェを活用いただける予定があります。これも今後の展開や交流が広がることを楽しみにしています。 また、若年性認知症の方の居場所として機能していけるかも課題と考えます。高齢者の方であれば比較的スムーズに介護保険サービス、たとえばデイサービス利用等につながり、社会交流が図れることがありますが、若年性認知症の場合それにそぐわないケースが多くあると言われており、当カフェがその居場所であったり、ひいては趣味や就労等の活動場所となることが大切になると考えています。そのためにも、このカフェの存在や、このカフェでできることを、認知症当事者やその家族等はもちろん、医療関係者や介護関係者等、また地域の団体や学校等に対しても、まず知ってもらうということ、見てもらうということから始めていくことが大切と考えています。そして、人を集めるカフェではなく、面白いから人が集まるカフェになっていければと考えます。

最後にリスナーに向けたメッセージをお願いします?

「認知症」がほかの病気や症状と大きく違う点として、「他人からは見えないこと」があげられると思います。だからこそ、当事者や家族の方々が自身の内側に秘め、潜んでしまっているケースも増えています。先日、認知症当事者の方とお話をしていた際に、自身が診断されて絶望や不安が大きい毎日を暮らしていたが、その時にふさぎ込んで考え込んだ時間は決して無駄でなかったという言葉がとても印象的でした。内に秘めてふさぎ込む時間を経て、前を向いたときに立ち寄ることができる居場所として「カフェほうおう」をはじめ認知症カフェがあります。宇治市や京都府には認知症とともに生きることを支える医師や専門職、地域住民の方々がたくさんいます。認知症と診断されても安心して生活できる環境がこの地域にはあることが伝われば幸いかと思います。ありがとうございました。

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