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■京都新聞 Iru▶miru 掲載記事
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山科武田ラクトクリニック 消化器内科 高橋 周史
Q 内視鏡検査って?
A 内視鏡検査とは、先端に小型カメラ(CCD)を内蔵した細長い管状の器具(内視鏡)を臓器内部に挿入して観察する検査です。消化器内科では、口または鼻から内視鏡を挿入して食道、胃、十二指腸を観察する上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)や、肛門から内視鏡を挿入して大腸(直腸と結腸)を観察する下部消化管内視鏡検査(いわゆる大腸カメラ)を実施しています。
Q 内視鏡検査のメリットは?
A バリウムを用いて造影する検査(胃透視や注腸造影)とは異なり、消化管の粘膜を直接観察できるため、より正確な診断が可能です。肉眼観察だけでなく、病変の一部をつまみ取り(生検)、顕微鏡で観察(病理検査)して良性・悪性の判定などもできます。胃カメラでは、胃がんと密接に関連しているピロリ菌の有無と胃炎の程度も調べられます。近年の内視鏡検査では、通常光だけでなく特殊光を用いた観察により診断能が向上し、ズーム機能による拡大観察でさらに正確な診断に迫ることも可能となっています。
Q 発見可能な病気は?
A 胃カメラでは、食道がん、逆流性食道炎、胃がん、ピロリ菌関連の胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など、大腸カメラでは、大腸がん、各種大腸ポリープ、大腸憩室、潰瘍性大腸炎など多数の疾患の診断が可能です。
日本人の死因別死亡数の割合では、がんなどの悪性新生物が最も多く全体の3割程度を占めており、その中でも大腸がん、胃がん、食道がんは上位となっています。内視鏡検査では、内視鏡で治癒切除ができる早期の段階で発見することも可能です。ただ、早期がんでは自覚症状がなかったり軽度のことが多いので、健診の内視鏡検査や症状出現後早めの内視鏡検査がお勧めです。また、便潜血陽性の方は大腸カメラがお勧めです。
初めての検査で不安な方、以前の検査が苦痛だった方などは、細径の内視鏡や鎮静剤使用などにより不安や苦痛を和らげる方法もありますので、自己判断で検査を躊躇することなく是非とも担当医と相談していただきたいと思います。
山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一
心臓突然死を防ぐには、最も多い原因疾患といわれる心筋梗塞・狭心症の予防が非常に重要です。心臓の栄養血管である冠動脈が、動脈硬化で狭窄することにより心筋が酸素不足になるのが狭心症です。また、血管壁に蓄積したコレステロールを含むプラーク(盛り上がった病変)が破綻することでできた血栓が血管を閉塞すると、急性心筋梗塞を発症し、激しい胸痛が持続します。心臓病が日本人の死因の第2位になって久しいですが、その大部分がこの疾患の増加によります。発症は突然でも、その基盤となる動脈硬化は、長い間の生活習慣の積み重ねによることが多いのです。生活習慣の乱れから、内臓脂肪増加、高血圧、糖尿病、脂質異常症などいわゆる生活習慣病が起こり、動脈硬化が進行、ある日突然心筋梗塞や脳卒中の発症に至る一連の流れは、ドミノ倒しに例えて「メタボリックドミノ」と呼ばれています。このドミノ倒しの進展を出来るだけ早い時期に止めること、すなわち食べ過ぎ、飲み過ぎ、塩分過多、運動不足(特にコロナ時代)、喫煙などの日常生活習慣の乱れを改善し、心臓病のリスクとなる生活習慣病(「隠れ心臓病」)に陥らないように日々取り組むことが大切です。「ローマ(健康)は1日にして成らず」のごとく、継続が必須です。また定期的に健診や人間ドッグを積極的に活用し、ご自身の生活習慣病やその傾向=「隠れ心臓病とその予備群」の有無を把握することも有用でしょう。自覚症状がなく、日常生活に支障がなくても指摘された「隠れ心臓病と予備群」は放置せず、心臓突然死に見舞われないために適正な精査や必要な治療を受けて下さい。また、胸の痛み、動悸、息切れなど心臓に不安がある場合には、出来るだけ早く、専門医療機関できちんとした検査を受けましょう。2月1日から山科駅前に移転した当クリニックでも循環器病の診療を継続しています。お気軽にご相談ください。
山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一 
健康だった人が、ある日突然、命を落とす。ゴルフのプレー中に倒れ不帰の人となったとか、会議中に急死したなど皆様の周囲でも耳にされることがあると思います。
いわゆる「突然死」は予期しない急死のことで、発症から24時間以内の死亡と定義されています。原因は心筋梗塞50-60%をはじめ、心筋症30-35%、遺伝性不整脈10%など心臓病によるものが大半を占め、そのほとんどが「心室細動」と呼ばれる致死的な不整脈に起因するといわれています。「心室細動」になると心臓は震えるのみで血液を送り出せなくなる心停止の状態です。数秒で意識を失い、数分で脳をはじめとした全身の細胞が死んでしまいます。日本ではなんと1年で約7.9万人、1日で約200人が心臓突然死で亡くなっています。それでは、このような状態に遭遇したら、どうしたら良いのか?
「心室細動」からの救命には迅速な心肺蘇生と電気ショックが必要です。電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下します。119番通報をしてから救急隊が到着するまでの平均時間は9.4分、救急隊や医師を待っていては命を救うことができません。その場に居合わせた「われわれ」が協力し合い、119番通報と同時に、勇気を奮って、直ちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始し、AED(自動体外式除細動器)を使用することが救命への一歩となります。胸骨圧迫は胸骨の下半分のところを、5cm沈むくらい、1分間100―120回のペースで圧迫します。AEDは医療機関以外にも学校、市役所、公民館、駅、スポーツセンター、商業施設、コンビニ、ドラッグストアなどで設置されています。自宅や勤務先の付近でAEDの設置場所を確認しておくと良いでしょう。AEDの使い方や一次救命処置の技術を学ぶ講習を地域の消防署で受ける事ができます。AEDを用いた救命処置で突然の心停止の約半数の人が救われます。ひとりでも多く突然死から救うために、AEDの使用が当たり前となる社会をめざしたいものです。
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。