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Iru miru 健康通信 たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世 「全身性エリテマトーデス(SLE)」

2024/04/08 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


irumiru_mimoridr.jpgたけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世
「全身性エリテマトーデス(SLE)」

 どんな病気?

 SLEは膠原病を代表する病気であり、多彩な症状を呈する全身性自己免疫疾患です。発症には遺伝的素因、環境要因(紫外線、感染、性ホルモン、薬剤など)、免疫学的異常が複雑に関与しています。我が国では指定難病に認定され、2021年度の受給者数は6万4,304人です。男女比は1:10で圧倒的に女性に多く、20~30歳代に好発します。「蝶型紅斑」とよばれる特徴的な顔の紅斑が多くみられ、発熱、日光過敏、脱毛、口腔潰瘍、レイノー現象なども見られます。また腎炎(蛋白尿、むくみ)、関節炎、精神神経症状、胸膜炎・心外膜炎、血液症状(白血球減少、血小板減少、溶血性貧血、)、肺病変、消化器病変など多彩な臓器病変を伴います。これらの症状はさまざまな組み合わせで見られ、一人ひとりが異なる多彩な病態を示します。自己抗体は診断に有用で、抗核抗体がほぼ全員に見られ、抗DNA抗体、抗Sm抗体、抗リン脂質抗体が陽性ならSLEの可能性は高まります。

 治療は?

 SLEの治療は進歩しています。ステロイド(グルココルチコイドGC))が第一選択薬ですが、投与量は重症度、臓器病変、活動性に応じて決められ、症状が改善すればゆっくりと減量していきます。免疫抑制薬は重症例、GC効果不十分、副作用のためにGC増量困難の場合に併用しますが、近年は早期から使用してGCをできるだけ早く減らすことも推奨されます。SLEで用いられる免疫抑制薬にはシクロホスファミド(月1回点滴)、ミコフェノール酸モフェチルやタクロリムス(内服)などがあります。ヒドロキシクロロキンは難治性皮疹や関節炎に有効ですが、現在はできる限り多くのSLE患者さんに早期から併用することが勧められています。またSLEの病態形成に重要な分子を標的とするベリムマブ、アニフロルマブ、リツキシマブ(いずれも注射薬)が使用可能となり、治療選択が格段に広がりました。GCにこれらの薬を併用して早期に寛解を目ざす治療が進められています。疑わしい症状があれば専門医の受診をお勧めします。