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Iru miru 健康通信 武田総合病院 循環器内科 主任部長 北村 亮治 「末梢動脈疾患」

2023/07/15 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


ijin_kitamuradr.jpg武田総合病院 循環器内科 主任部長 北村 亮治
「末梢動脈疾患」

 末梢動脈疾患とは?

 末梢動脈(主に下肢の血管)における血液循環の障害や損傷を指します。以前は「閉塞性動脈硬化症」と呼ばれていましたが、現在は、その原因に関係なく、国際的に「末梢動脈疾患」に統一されています。動脈硬化の影響で動脈が細くなったり詰まると、組織に十分な血液や酸素が供給されなくなります。特にこの疾患は、高齢者や喫煙者、糖尿病患者などに多く見られます。症状としては歩行時の足の痛み、冷感やしびれなどで、さらに進行すると潰瘍、切断などの重大な合併症を引き起こすことがあります。

 なぜ注意が必要なの? 

 動脈硬化は全身の血管に発症します。疫学データで末梢動脈疾患を合併している患者さんは約60%で、心臓や脳血管の障害を発症しているとも報告されています。このため、全身疾患として捉える必要があるので、早期発見が重要と考えています。

 検査方法は? 

 問診で疑われた場合、上腕と足首の血圧を比較し、血流の制限の程度を評価する「脈波検査(ABI検査)」を行います。さらに、血管の形態や血流の状態を観察し、動脈狭窄や閉塞を「超音波検査」で血流評価します。血液検査では、コレステロールや炎症マーカーなど、リスク因子や病状の評価に用います。

 どんな治療法があるの? 

 薬物療法では、血液をサラサラにする抗血小板薬やコレステロールを下げる薬などを使用して動脈硬化の進行を抑制します。ただ、大事な点は症状を緩和する薬物療法はあまりないことに留意して下さい。重篤な症状や合併症がある場合は、血行再建手術として動脈バイパス手術や血管内治療(PTAやステント留置)などの手術的な処置を考慮します。

 

 末梢動脈疾患は早期に発見し、適切な治療を行うことが重要です。当院でも5月から「末梢動脈外来」が開設され、医師の指導のもとで定期的なフォローアップを受けられています。生活習慣改善や薬物療法などを行うことで、症状の進行を遅らせ、合併症のリスクを軽減することが期待されるでしょう。