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リウマチブログ

2023/07/28レポート

関節リウマチ患者さんに定期的な歯科通院を勧めます

リウマチ診察では、患者さんの口の中を診察することがあり、
唾液の状態、歯肉疾患、衛生保持、残存歯の状態などを診ています。
①唾液の量や性状はシェーグレン症候群(関節リウマチ患者の1から2割の方が合併)と関連します。
②お口の清潔を保つことは、特にご高齢の方では、誤嚥性肺炎のリスク軽減のために重要です。
③歯肉の病気は、ポルフィロモナス・ジンジバリス菌との関連が知られており、以前からこの菌は関節リウマチの発症・進行に
影響している可能性が示唆されています。
④リウマチ患者さんは、一般人よりも、年齢の割に歯を失っている方が多い(約4割)です。

口腔と全身との関連:口腔は、歯周病菌を含め様々な細菌が存在します。口腔内の不衛生や歯周病は、口腔内細菌が血中に侵入門戸となり、細菌が関節や心臓の弁に感染するきっかけとなります。

主な歯周病菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスはPADと呼ばれる酵素を産生します。この酵素は体内のタンパク質を修飾し、シトルリン化タンパク質を作り出します。
シトルリン化タンパク質は、体内の蛋白質と似ているため、免疫系が誤って攻撃してしまう(自己免疫反応)のではないかと考えられています。また、この細菌は免疫系を活性化し、慢性的な炎症反応を引き起こすと考えられており、関節リウマチの発症・進行に関与している可能性が示唆されています。

一般の方のうち、55才以上の1割以上が歯や歯ぐきに問題(歯の痛み・歯ぐきの痛み・腫れや出血・噛めないものがある)をかかえています。

歯肉に問題のあるリウマチ患者さんは2割います2) 
歯みがきで歯肉出血(31%)、歯周病(18%)、歯肉病の既往(20%)

日本人リウマチ患者さんと歯の喪失・歯周疾患
禁煙、大腿骨の骨密度の低さ、血中ビタミンD測定値などが「歯の喪失」と影響している可能性があります 3)
また、高齢、女性、喫煙歴、骨折歴、身体機能障害、ステロイド投与量が、「歯周疾患」と関連していることが報告されています2)。 

歯ブラシ以外の道具も使っていますか
40~70代の一般女性は5割以上がデンタルフロスや歯間ブラシを用いた歯間部清掃を行っています。1)抗菌性洗口剤を歯みがき後に使うと口内の細菌数が減り、歯垢の形成を抑えることができます。特に骨粗しょう症治療薬(破骨細胞の働きを抑えるタイプ※)を使用中の方は、抜歯やインプラントが必要にならないよう、ご自身の歯を大切にしましょう。4)

関節の痛みなどのため十分な歯磨きができない場合は、主治医や歯科医にご相談下さい。歯科医院や訪問歯科診療を行っている歯科医院に、関節リウマチの病状を伝えた上で紹介致します。

※プラリア皮下注射およびビスフォスホネート製剤(ボナロン、フォサマック、アクトネル、ベネット、リカルボン、ボナロン点滴、リクラスト点滴など)

参考資料
1)平成28年厚労省による歯科疾患実態調査
2)FuruyaT,et al.Age and female gender associated with periodontal disease in Japanese patients with rheumatoid arthritis:Results from self-reported questionnaires from the IORRA cohort study.Mod Rheumatol.2020 May;30(3):465-
3)MochizukiT,et al.Somoking,Serum Albumin and 25-hydroxy Vitamin D Levels,and Bone Mineral Density are Associated with Rheumatoid Arthritis.lntern Med.2023 Fed 22.
4)骨吸収抑制薬関連顎骨壊死の病態と管理:顎骨壊死検討委員会ポジションペーパー2016(日本口腔外科学会、日本骨代謝学会等が共同し作成)

                                文責 リウマチ科医師 副部長 駒野 有希子

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