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Iru miru 健康通信 宇治武田病院 副院長 清水 長司 「進化する人工膝関節置換術 ~コンピューター支援による最近の進歩~」

2021/09/28 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


c_shimizu.jpg宇治武田病院 副院長 清水 長司
「進化する人工膝関節置換術
   ~コンピューター支援による最近の進歩~」

 近年、傷んだ関節表面をインプラントで置き換える人工膝関節置換術の成績向上を目指して、さまざまな改良や工夫がなされてきました。関節に入れるインプラントのデザインは言うまでもなく、数年前から導入されつつあるコンピューター支援ナビゲーションシステム(以下ナビゲーション)の躍進により、インプラント設置位置の精度は格段にアップしました。従来より、手術は術者の『経験と勘』にゆだねられて行われてきましたが、骨切りの位置がずれてしまったり、想定外の結果が生じる確率が少なからずありました。そのため開発されたのがナビゲーションです。このシステムを用いることによって、骨切りの位置や角度など、かなり正確に骨を切ることができるため、今では多くの施設で導入されつつあります。このナビゲーションをより進化させたものが、いわゆるロボテックアーム支援手術(以下ロボット)です。これは骨切りやインプラント設置位置をナビゲーション機能を備えたロボットが補助します。その精度は0.5度、0.5ミリ単位で調整可能で、ナビゲーションに比べてさらに正確な手術が可能になります。ロボットといっても、独自に判断して動いたりすることはありませんので、術者は通常の手術手技に近い感覚で、自由度の高い手術が行えます。

 ナビゲーションとロボットの違いは、骨切りなどで生じる誤差を最小限にとどめ、予定していた術前計画を忠実に再現するのがロボットです。

 現在国内で使用できるロボットは3機種あります。それぞれに一長一短はあり、使用目的も多少異なりますが、今後ロボット手術は、人工関節の再置換や靭帯(じんたい)形成術などにも適応が拡大されるものと期待されています。

 当院でも2021年9月から京都府内で初めてロボットを導入しましたが、手術前に一人ひとり個別に計画した理想の人工膝関節を高い再現性をもって行うことが可能となり、変形が高度な難易度の高い手術に対しても、合併症リスクの少ない安心かつ安全な手術が実現されようとしています。