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すこやか健康相談 武田病院 神経脳血管センター 部長 川崎 照晃 「認知症について」

2017/02/08 インフォメーション 武田病院グループ

※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


認知症について

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武田病院 神経脳血管センター 部長 川崎 照晃



最近、認知症についての話題を耳にすることが多いですが、日本では認知症の患者さんの数が増えているのでしょうか?

はい。2012年の厚生労働省の推計によりますと、いわゆる団塊の世代が75歳以上になる2025年には、何らかの認知症を有する患者さんの数は470万人に達し、65歳以上の高齢者全体の12.8%にのぼるという見通しが立てられており、こうした方々を様々な方向から支えられるような体制づくりが必要と考えられるようになってきています。

では、そもそも認知症とは、具体的にはどういった状態を指すのでしょうか?

脳は、私たちのほとんどあらゆる活動をコントロールしている司令塔です。認知機能とは、脳に入ってくる様々な情報を分析・判断し、それに対応する行動を生み出す能力のことです。それがうまく働かないと、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。認知症とは、脳自体や何らかの身体の病気が原因で、脳の働きが悪くなったために、一旦獲得された知識・知能や周囲への適応性などといった機能が損なわれ、日常生活に支障をきたした状態のことを言います。

認知症を疑わせる症状には、どのようなものがありますか?

年齢を重ねるうちに「物忘れが増えてきたな」と思う方は多いのではないでしょうか。物忘れには、こうした脳の老化現象の影響に伴う誰にでもおこる物忘れと、認知症の症状としてあらわれる物忘れがあります。普通の加齢による物忘れの場合、「人の名前が思い出せない」「2階に来たら何を取りに来たのか忘れてしまった」「大切な約束をうっかり忘れてしまった」など、体験の一部だけを忘れてしまい、何かきっかけを与えられれば思い出すことができ、「自分が忘れている」こと自体には気づいているのが特徴です。それに対して、認知症による物忘れでは、自分の体験したこと全てを忘れてしまいます。つまり、「食事をした」「約束をした」という経験そのものを忘れてしまったり、場所や日時の見当がつかなくなったり、生活するうえで支障が出て来ます。

他にはどんな症状がありますか?

認知症の初期症状で最も多いのは物忘れですが、それ以外の症状で始まることもあります。理解判断力の低下から「些細なことでも混乱してしまったり」、実行機能の障害から「段取りや計画がうまく立てられなくなったり」、「やる気がおこらない」、「これまでやっていた事をしなくなった」、「ものぐさになった」など意欲、自発性の低下やうつ症状を来したり、不安感から「イライラしたり、怒りやすくなったり」もします。

認知症の原因にはどのようなものがありますか?

認知症の原因として最も多いものは、ベータアミロイドやタウタンパク質と呼ばれる物質が脳内に蓄積しておこるとされる、アルツハイマー型認知症です。また、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害によっておこる血管性認知症や、脳にレビー小体という特異なタンパク質が蓄積しておこるレビー小体型認知症という認知症があります。特徴として、「部屋に虫がいる、誰かが座っている」といった幻視や、パーキンソン病様の身体症状が見られます。さらに、脳の前頭葉と側頭葉中心に萎縮を来たす前頭側頭型認知症と呼ばれるものがあり、同じことを繰り返したり、態度の変化や行動の異常などがみられます。認知症様の症状を示す疾患には、高齢者ではある種の薬剤が原因になるなど、これ以外にも様々な要因があります。

認知症かと思ったらどうしたらいいですか?

ある病気の一時的な症状としてあらわれる場合があり、適切な処置によって治癒したり、改善することもありますので、早めに医療機関を受診されることが有用です。初期にはなかなか鑑別が困難な場合もありますが、認知症の場合は早期からの内服で進行を遅らせたり、症状を緩和することができ、また、早期から医療や介護の支援を受けることで、生活上のトラブルを軽減でき、その後の対応に余裕を持ってあたれるというメリットもあります。ですので、地域のかかりつけ医の先生や認知症サポート医の先生に相談され、一度専門の医療機関の物忘れ外来などを受診されることをおすすめします。

物忘れ外来ではどんな診察や検査がありますか?

まず、診察室で病歴の聴取、問診と神経学的な診察行い、ご家族からも病歴の聴取を行います。その後、血液検査、高次脳機能検査とMRI(あるいはCT)を用いた画像検査を行います。

認知症の進行を抑えたり、予防するにはどいしたらいいですか?

高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病の予防が、認知症の予防にもつながると考えられています。生活習慣の改善、すなわち、食習慣の見直し、適度な運動の継続や睡眠の調節、ストレス解消などが有効ですし、周囲とのつながり、コミュニケーションも有用と思われます。

最後に一言

今もお話ししましたが、生活習慣や環境を整え、脳の活性化をはかることが、知症の進行や発症を遅らせ、予防にも効果があると考えられます。行いやすいところから、少しずつ始められてはいかがでしょうか。