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新着情報

お知らせ 2018/08/14

平成30年8月11日(祝・土) 第5回京都ハートの日 市民公開講座を開催しました

第5回京都ハートの日 市民公開講座を開催
110名が参加し最新の治療と予防法を学ぶ

心臓病予防をテーマとした「京都ハートの日 市民公開講座」が8月11日にメルパルク京都で開催されました。第5回となる今回の講座には110名が参加。講師に次々と質問したり熱心にメモをとるなど、会場は終始活気に満ちていました。
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冒頭挨拶に立った、康生会武田病院循環器センターの木下法之部長(京都ハートの日実行委員会委員長)は、初回からの5年間を振り返りながら「このような多くの方々を迎えられる講座に成長させて頂いたこと感謝申し上げます」と謝意を表明。そして「本日は心臓病に関する多くの専門家の先生にお集まり頂いており、会場の皆さんからのご質問にお答えしていきたい」と会場一体の学びの場であることを強調しました。


美味しくないと料理は意味がない 意識せず楽しみながら減塩を
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オープニング講演は、同院の森田秀之管理栄養士が「塩分、栄養バランスなど計算していくと美味しさが薄れてしまいがち。食事は美味しくないと意味がないじゃないですか」と管理栄養士らしくない言葉を会場に投げかけ、参加者を驚かせました。
続いて森田氏は、「タレや醤油は料理にかけるのではなく、料理の方からつけることでおよそ塩分量を半分にできます。一度やってみて下さい」「ミョウガなどの香味野菜で風味をつけるのもいい」など、料理を楽しみながら意識せずに減塩できるテクニックを次々と紹介しました。

 

 

心臓リハビリテーションの有効性をもっと知って継続して欲しい
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続いて、康生会クリニックの今井優健康運動指導士は、「心臓リハビリテーションいついて」と題し講演。かつては、術後は安静にするのがリハビリテーションであったが、運動能力が低下し、同じ量の運動で心拍数が上がってしまうようになるなど、より心臓に負担がかかることが分かり、心臓リハビリテーションが始まったことを紹介。「心臓リハビリテーションは大変、有効です。ただまだまだ知られていないケースが多いし、継続して通院されなくなってしまうことも多い」と説明。武田病院グループをはじめ、多くの施設で心臓リハビリテーションを行っているので、問い合わせてもらえるよう、呼びかけました。

 

 

病院の多職種、地域のかかりつけ医も含め 皆が患者さんを守るハートチーム
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また座長を務める木下法之部長も循環器内科医として講演。「心臓血管病 現在の対策」のタイトルで心不全の仕組みを解説し、その治療法として、血管を広げるバルーン、血管が再狭窄しないためのステントなどカテーテル治療を分かりやすく動画で説明しました。
木下部長は、「以前、ピコ太郎のPPAPが流行りました。今、我々が注目しているPPAP(princeps pollicis artery procedure)は、手の親指の付け根から入れるカテーテル治療です」と新たな治療法について紹介。出血の危険性が少なく、痛みも少ないなど、非常に低侵襲であり、厚生会武田病院で実績をあげていることを披露しました。
締め括りにあたっては、「我々が考えるハートチームは、医師だけでなく、技師、薬剤師、看護師、リハ職、栄養士、ソーシャルワーカー、そして地域のかかりつけの先生も含んだ、皆がチームとなることです」と笑顔で会場に語りかけました。


何歳からでも鍛えることが出来るので骨格筋を鍛え心臓の負担を減らそう
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続いて康生会武田病院心臓血管外科の朴昌禧部長が登壇。朴部長は、「がん」と「心不全」の術後の生存率を比較し、「重度の心不全は圧倒的に死亡率が高い」ことを強調し、心不全への注意が非常に重要であることを訴えました。そして、「心不全の患者さんはあっという間に筋肉が減ってしまい"サルコペニア"に陥りやすい」と指摘。リハビリテーションで骨格筋を鍛えることで、酸素を有効に活用できるようになり、心臓への負担を減らすことが出来るとし、家庭でできる運動として「片脚立ち」や「スクワット」などを紹介しました。
ただ、なかなか効果がでずに諦めてしまうケースも多いことに触れながら、「効果が出るまで最低3ヵ月。でも、何歳からでも鍛えることが出来る」とし、91歳女性での術後リハビリテーションの事例を紹介すると、会場から驚きの声があがりました。

 

高コレステロールは「家族性」に要注意 蓄積するので油断をしないように
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シンポジストの康生会武田病院健診センター・桝田出センター長は、心臓病に関わる悪者としての悪玉コレステロールと良い働きをする善玉コレステロールついて解説。「コレステロールの皆が悪さをするわけではないし、基準値を超えた皆が動脈硬化になる訳ではない。ただ、遺伝子異常や家族の習慣など、家族性の疾患は発病リスクが高い。皆、感心が低いが極めて注意が必要」と分かりやすく説明しました。
桝田センター長は、ジョークをまじえつつ「コレステロールはあまり怖くないのか、湿布と睡眠薬は喜んで持って帰るのに、薬を飲むのは辞めてしまう」と会場の笑いを誘い、「睡眠薬は心臓に悪く、コレステロールは段々蓄積していくので、薬を飲まないと発病リスクは7倍になる」と危険性を指摘しました。

 

 

シンポジウム
心臓に関する不安に登壇者が回答 ・ 力強い発言に参加者も安心
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講演後はハイライトとしてシンポジウム「心臓病予防のために」を開催。4人の講演者とまつばらクリニックの松原欣也院長がシンポジストとして登壇。会場からの様々な質問に、それぞれ専門家の立場から丁寧に回答しました。「ステントを入れたが痛みが続く」「またステントが必要になる」との質問に対しては、木下部長が「薬剤の出るステントが影響しているとの報告がある」など考えられるケースを紹介。松原院長は、「なるべく手術に至らないようにするのをテーマにしている。ステントを入れた場合、とるのは現実的ではない。あちこち狭窄する場合はバイパス治療が必要になるだろう」との見解を示し、これを引き継いだ朴部長は、「最初は身体に負担の少ない治療をすすめ、それでも難しい場合であれば血管をつなげる。例え細くともつなぐ血管が1mmでも1.5mmでもあれば、きっちりと血管をつなげさせて頂く」と力強く発言しました。また「何度も狭心症を起こす」との質問に対しては、今井健康運動指導士が「適切な運動療法が必要。この運動療法はついつい頑張り過ぎてしまうので、少し量を落とした適切な運動をサポートしている」と、術後の支援体制について説明しました。

閉会挨拶 朴先生 - コピー.jpg
締め括りにあたっては朴部長が「当院では医師だけでなく専門家による多職種で患者さんに対応しています。このチーム力ではどこの医療機関にもひけをとらない治療をさせて頂きます」と挨拶。盛大な拍手で会場が包まれました。







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