2026年6月20日、第33回武田病院 症例検討会・講演会が開催されました。本会は地域医療の連携推進を目的とし、従前は毎年開催されていましたが、コロナ禍を契機に暫く中断となっていました。今回は5年ぶりの開催です。
開会の辞として、武田純病院長は、先ず、悪天候の中、多くのご参加を頂いたことに感謝を述べ、次いで、本検討会の趣旨は、地域からご紹介頂いた興味深い症例について診断や治療の過程を深掘りし、参加者と共に活発にディスカッションを行うことであると紹介しました。また、今年度から新しい地域医療構想の策定が始まるにあたり、このリニューアルされた検討会を医療連携の新たな形に繋げていきたいとの抱負を語りました。

症例提示1では、座長はくろやなぎ医院 院長の畔柳彰先生が務められ、武田病院 循環器センター・心不全センター長の木下法之先生が 「心房細動を合併した慢性心不全増悪(HFrEF)を包括的に治療した2症例」 をご紹介しました。

木下先生は、心不全の背景を適切に治療することが再入院予防に繋がると強調し、武田病院心不全センターの取り組みとして、多職種連携のチーム医療、毎週の専門カンファレンスなどを紹介しました。特に、心不全手帳の活用により、患者さんは自身で体調変化を把握できるので、病院としては早期に患者さんが医療機関を受診できる体制を整え、心不全増悪の予防につとめていると述べました。
症例提示2では、座長は梶山内科クリニック院長の梶山靜夫先生が務められ、武田病院 内分泌糖尿病内科部長の谷川隆久先生が 「病型診断と治療選択に苦慮した糖尿病の2症例」 を提示し、糖尿病の多様な病態と診断や治療の選択の難しさについて講演をしました。


最後の特別講演では、武田病院 院長の武田純先生が座長を務め、京都大学大学院医学研究科 糖尿病・内分泌・栄養内科学の矢部大介教授が 「症例から考えるダイアベティス治療のすすめ方~ 病態と合併症・併存症、サポート体制を考慮した個別化アプローチ ~」 と題し、最新知見を交えて興味深いご講演をされました。


矢部先生は、まず日本糖尿病学会が掲げる診療目標 「糖尿病のない人と同じ寿命とQOLの達成」 について言及され、血糖・血圧・脂質の良好な管理、適正体重の維持、禁煙の重要性を改めて強調されました。
次いで、糖尿病の病態に応じた治療として最新の薬物選択について解説され、その診療基盤として、診療科や職域を超えたチーム連携が最も重要であると話されました。加えて、中核病院の専門医と地域のかかりつけ医が分担と連携を行い、そこに多職種が関わることで患者の治療継続率は向上し、その結果として、質の高い医療提供が可能になると述べられました。講演の結びとして、多様化していく糖尿病診療を鑑み、患者一人ひとりを考慮した個別化アプローチの必要性についても言及され、オール京都の体制構築でこれらの課題を克服していきたいとの展望を語られました。
閉会の辞として、武田病院 副院長・患者サポートセンター長の生駒和也先生は、コロナ禍を経て再開された症例検討の場が、紹介患者さんの診療に関する専門情報を地域にフィードバックするきっかけになり、今後は多くの診療連携の糧が生まれることを期待すると述べました。
