多汗症HYPERHIDROSIS

汗は体温調節に必要なものですが、日常生活に支障をきたすほどの多汗症は困りものです。腋窩多汗症はワキの下から過剰に汗をかく病気です。原因は遺伝や精神的な緊張などです。治療には外用薬、内服薬、ボツリヌス菌注射などがあります。気になる方は早めに医師に相談してください。

多汗症

多汗症について

日常生活の支障となるほど、多くの汗が出る病気

汗は体温調節に必要なものであり、暑さや運動によって体温が上がりすぎるのを防ぐために、必要に応じて汗をかきます。汗が蒸発することで熱を発散させ、体温を下げることができます。また、緊張やストレスなどの精神的な刺激も発汗の原因となります。

多汗症は、汗をかきすぎる病気です。汗腺が密集している手のひらや足の裏、ワキの下、額などから、大量の汗をかくのが特徴です。多汗症に悩む人は、思春期から中年世代までの社会的活動が盛んな年代に多いといわれています。男女の比率はほど同等です。

多汗症には、明らかな原因が存在しない「原発性多汗症」と、何らかの病気や使用している薬が原因となる「続発性多汗症」があります。続発性多汗症は、原因となる病気を先に治療する必要があります。

多汗症は、日常生活に支障をきたすことがあります。汗をかきすぎて服が汗で濡れたり、汗の臭いが気になったり、汗で手が滑りやすくなったりすることがあります。多汗症に悩んでいる方は、早めに医師に相談してください。

お悩みチェック

  • ワキに汗ジミができて一目が気になる
  • 周囲の目が気になって、学業や仕事に集中できない
  • シャツを着替えたりする手間が大変
  • ワキ汗パッドが手放せない
  • 常にタオルが手放せず、1日に何度も制汗剤を塗り直す
  • ゆったりしたデザインの服を選ばれなければならない
  • 緊張すると汗が出はじめ、意識するともっと出る
  • 着物の袖で汗が汚れてしまうが、洗えない
  • 汗が目立たない色をいつも選ぶので、好きな色の服が着られない
  • 白シャツや下着が黄ばんでしまって、すぐに買い替えなければならない
  • 冬に着るセーターも、汗で目詰まりしてしまう
  • ワキガの手術をしてにおいはとれたのだが、汗の量の多さは変わらず、気になる

当院で対応できる治療

エクロックゲルとは

エクロックゲルとは、有効成分が皮膚から浸透して、エクリン汗腺の交感神経から発汗の司令を受け取る部分をブロックすることで、発汗を抑えることが期待できます。

エクロックゲルは、アプリケーター付きボトルとツイストボトルの2種類からお選びいただけます。

参考文献:科研製薬株式会社

ラビフィートワイプとは

有効成分であるグリコピコロニウムトシル酸塩水和物が、神経からの汗を出す指令をブロックすることで過剰な脇汗を抑えます。

治療の継続で期待されること

ラピフォートワイプは1日1回毎日の使用で脇汗による日常生活の困りごとを減らすことが期待できます。

効果がでるまでどれくらいかかりますか?

毎日の使用によって徐々に効果が感じられます。
効果を実感するためには、継続使用が大切です。
まずは医師の指示した期間、治療を続けてみましょう。

毎日の使用で期待されること

脇汗の量が減り、日常生活での困りごとが減っていきます。

参考文献:マルホ株式会社

ボツリヌス療法とは

使用するのはボツリヌス菌が作るたんぱく質から精製された薬をワキの下に注射する治療法です。
1回注射すると効果が4~9ヶ月持続するので、年に1~2回程度の治療で汗を抑えることができます。

ボツリヌス療法が汗を抑える仕組み

ボツリヌス療法の効果の持続期間

汗を抑える効果は通常、治療後2~3日であらわれ、4~9ヶ月にわたって持続します。
効果の程度や持続期間には個人差があります。
完治を目指す治療法ではありませんので、症状がふたたびあらわれたときには、あらためて治療を行います。

ボツリヌス療法の副作用

注射後、まれに次のような副作用を生じることがあります。
多くは一時的なものですが、程度が強い場合など、気になるときには医師に相談してください。

  • 注射部分が赤くなった、はれた、痛む
  • からだがだるい
  • ワキ以外の部位で汗が増えた

ボツリヌス療法の注意点

ボツリヌス療法を受けたあとは以下のことに注意する必要があります。

  • 治療当日のみ、激しい運動は控えてください。翌日以降は、日常生活上の制限はありません。
  • 注射した部位は、揉まないでください。
  • 女性は治療後2回の月経が終わるまで、男性は治療後3ヶ月が経過するまで、避妊に必要な措置をとってください。
  • ほかの医療機関や診療科でボツリヌス療法を受ける際には、腋窩多汗症に対してボツリヌス療法を受けたことを医師にお伝えください。
  • ボツリヌス療法を繰り返し行った場合、体の免疫機能が働き、それまで得られていた治療効果を得られなくなることがあります。複数回の治療を受けたのち、明らかに以前より効果が弱まっていると感じられたら、その旨を医師に申し出てください。

料金

両脇 保険診療 3割負担 23,000円(税込)程度

参考文献:グラクソ・スミスクライン株式会社

塩化アルミニウムとは

このローションは、アルミニウムイオンが汗中のたんぱく質と凝固物を形成して、汗孔をへ閉塞することによって、制汗・収斂作用や防臭効果をもたらすものです。

ご使用方法

入浴後や就寝前に、肌の水分を拭き取ってから、コットンなどに含ませて塗布してください。

  • 脇の下
    塗布後は、タオルなどで拭き取らず、自然乾燥させてから服を着てください。
    毛を剃った状態で使いますが、剃った当日の塗布はさけ、翌日から使用してください。
  • 手のひら
    塗布後1時間ほどは手洗いや水仕事を避ける必要があるので、就寝前に塗ることをおすすめします。
  • 足の裏
    塗布後1時間ほどはあるかないように過ごすひつようがあるので、就寝前にぬることをおすすめします。

最初の1週間程度は毎日塗布し、その後は2~3日毎から4~5日毎でも効果を維持することができます。

注意事項

かさつき、かゆみ、赤みなどがあるときは、1時間待ってから表面を濡れタオルで軽く拭き取ったり、保湿剤をつけたりしてください。
それでも症状が改善しない場合は、使用を中止して受診してください。

塩化アルミニウムの治療の料金

塩化アルミニウム溶液は院内で調合しています。
塩化アルミニウムローションについては、健康保険適応外となります。

100ml 1,430円(税込)

治療の流れ

  • STEP01

    診察

    1.問診

    ワキ汗の症状についてお聞きします。
    難しく考えず、ありのままをお伝えください。
    うまく伝えるのが難しい方はお悩みチェックを参考にお伝えください。

    2.視診

    医師がワキやワキ汗の状態を確認します。
    視診の際は、ノースリーブなどのワキを出しやすい格好でお越しいただけますと視診がおこないやすくなります。

  • STEP02

    治療法の決定

    医師の診察後、ワキの多汗症の診断とその重症度が決定します。
    結果を元に治療を行っていきます。