24.ハイヒールと腰痛

ハイヒールは若い女性を中心に履かれることが多いと思いますが、ハイヒールを長く使用される方から腰痛の悩みを聞くことが多くあります。当科の横山邦生副部長から、ハイヒールが脊椎や膝関節に影響を及ぼすとする最近の研究について報告してもらいます。

 

■ハイヒールと脊椎バランス

ハイヒール着用時とはまさにかなり傾斜のきつい斜面に立っていることを想像してみてください。身体は前に傾きますのでバランスを保とうとして身体を起すよう体は反り返ろうとします。そうすると下の図に示すように腰椎は過度に背屈(うしろにそる)します。また、腰椎の背屈には限度があるため、両膝を曲げる姿勢をとることで代償しようとします。これは体の重心(専門的にいう脊椎の矢状面バランス)を維持するため無意識のうちに人は調整しているのです。

■長時間ハイヒールを履くと

腰椎の過度の背屈はそれが長時間、長期間に及ぶと上下の背骨どうしの連結部(椎間関節)が徐々にいたんできます。

また背骨周囲の支持組織(椎間板や脊椎の靭帯、周囲の筋肉)に持続的な負荷がかかることにより炎症を引き起こし慢性的な痛みの原因となります。その先に腰部脊柱管狭窄症やすべり症といった腰椎変性疾患の原因にもなり得ます。ハイヒールを履く場合はできるだけ着用時間を制限し腰や膝への負担軽減を意識的に配慮しましょう。

  

 

 

参考文献
Eur Spine J. 2015:24:1274-81.
Eur Spine J. 2016:25:3658-3665.

 

脳神経外科副部長
横山 邦生