22.あなたは草食系?肉食系? 脳や心臓によいのはどっち?

最近、健康や美容のために、肉や魚を食べずに野菜中心の食生活を送る人(菜食主義者=ベジタリアン)や、さらに乳製品や卵製品なども食べない完全菜食主義の人たち(ヴィーガン)が世界中で増えてきています。しかし、本当に健康にいいのか、病気になりにくいのかなど、その効果はまだ正確にはわかっていません。印象からは何となく体にいい感じがします。
当科の伊藤裕副部長に 食生活と心脳卒中の関係に関する調査についてまとめてもらいました。

 

菜食の人(ベジタリアン)、肉食の人、魚食の人について、イギリスで約3万人を対象に18年間にわたり行われた調査(BMJ)の結果についてお話します。

 

虚血性心疾患や脳卒中について

心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に関して、肉食の人たちと比べて、菜食の人たちは22%少なく、魚食の人たちは13%少ないという結果でした。しかし、脳卒中でみると菜食の人たちは、あらゆるタイプの脳卒中で多くなり(20%)、とりわけ出血性卒中は43%多く発生していました。ヴィーガンの人たちも、肉食の人たちよりも、虚血性心疾患は少なかったのですが、全部の卒中は多い結果でした。
参考までに、日本での調査では、肉製品の摂取が少ないと、出血性卒中や全部の卒中の発生率や死亡率が上昇するという結果でした。

コレステロールについて

コレステロールが気になる人も多いと思いますが、菜食の人たちは、肉食の人たちよりも総コレステロール、非HDLコレステロール(総悪玉コレステロール)が低い傾向にありました。
また、魚食の人たちは、肉食の人たちよりもHDLコレステロール(善玉コレステロール)が高い傾向にありました。
意外にも、菜食の人たちは、肉食の人たちよりも、HDLコレステロールは少し低い傾向にありました。
日本をふくめて以前より低コレステロール血症が脳出血のリスクであることも数多く報告(Circulation、Stroke)されていたのですが、上記の所見と矛盾しない結果です。

 

月並みな言い方ですが、野菜だけでなく、肉や魚もバランスよく食べることが、虚血性心疾患や脳卒中の予防には良いようです。

 

 

文献
BMJ 2019; 366: l4897
Circulation. 2009;119(16):2136-45.
Stroke. 2007;38(10):2718-25.

脳神経外科
伊藤裕、川西昌浩