14. 物忘れと認知症


脳神経外科の外来で脳のCTやMRIをとった後によく聞かれる質問が「物忘れがひどいんですが・・・」、「認知症とか大丈夫でしょうか」などという質問です。CTやMRIで物忘れや認知症の原因がわかるのは少数であり、大部分はこれらの検査では正常のことが多いのです。

どういう点から判断するか?
日常生活と社会生活がポイント!

物忘れ(記憶力障害)や認知症の判断には大きく3段階

・老化(正常)
・軽度認知障害
・認知症(アルツハイマー病を含む)

にわけますと判りやすいです。

これらの区別のポイントは日常生活や社会生活が支障なく送られているかどうかという点になります。社会生活が問題なくおくられていて、物忘れだけ(偶然出会った人の名前を思い出せない、買い物に行って何を買うはずだったか忘れるなど)の場合は心配のない正常の物忘れです。

軽度認知障害とは

年相応とはいえない物忘れがあり、社会活動や家事、金銭管理などに若干の支障があるが日常生活(食事、トイレ、入浴)は問題なくおくられている状態です。この場合の物忘れは経験したことは覚えているが、詳細な内容は忘れてしまうというような場合です。同じ相手に何度も同じ話をしたり同じ確認をしたりといったことが多くあります。また物をどこに置いたか忘れて紛失することが多くなります。

認知症予防にはどうしたらいいのか?

認知症の半数近くは原因不明で、予防策がないものもあります。ただし残りの半分は進行対策があります。ざっくり言いますと心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化の予防対策と同じで脳の細かな血管を大切にすることなのです。つまり高血圧、高血糖(血糖の乱高下)、肥満をしっかり調節し、禁煙し、適度な運動などが認知症の予防にとっても大変重要です。

 

脳神経外科 川西 昌浩

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