中村 玲雄
- 副部長
下肢静脈瘤は、足の静脈に血液が貯留し、血管がボコボコと浮き出て見える病気です。定義は立位で3mm以上に拡張した下肢の皮下静脈です。
症状としては足がむくむ、血管が浮き出る、足の皮膚が黒くなる、潰瘍ができる、かゆい、こむら返りなどがあります。
足にたまった血液が心臓へ逆流しないよう下肢静脈には逆流防止の弁があります。その逆流防止弁が何らかの原因により機能しなくなると、心臓に帰るはずの血液が足にむかって逆流してしまい、血管がボコボコと浮き出てきます。
男女比はおよそ1:4と女性に多く80%前後が伏在静脈瘤です。視診や超音波検査を実施することにより、診断することができます。
伏在静脈瘤 | 大腿部や下腿部の大伏在静脈や小伏在静脈と深部静脈の合流部の弁不全に起因する静脈瘤。下肢症状を伴う事が多いため血管内焼灼術(カテーテル治療)を中心とした治療が必要となる。 |
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側枝型静脈瘤 | 伏在静脈の側枝のみ逆流がみられる静脈瘤。 瘤切除や硬化療法(注射)による治療法がある。 |
網目状静脈瘤 | 細い皮下静脈の網目状の拡張。通常静脈瘤は2ー3mmで外見的に青く目立つが膨隆は少ない。下肢症状を伴う事は少ない。 |
クモの巣状静脈瘤 | 径1mm以下の皮内静脈の拡張。クモの巣様の外観を呈す。下肢症状を伴う事は少ない。 |
症状に応じて、弾性ストッキングによる圧迫療法やカテーテルによる血管内焼灼術、手術による瘤切除などを循環器内科、心臓血管外科で連携し実施いたします。入院期間は1泊2日で、治療は全て保険診療です。
2011年1月からレーザー治療が保険適用となったため、手術に比べてより低侵襲で実施できる血管内焼灼術の実施症例が増えています。(当院では高周波焼灼術を採用しています)
術中の疼痛に配慮し、必要に応じて静脈麻酔を併用し可能な限り痛みの少ない治療を心がけています。
2019年12月に、国内初の下肢静脈瘤血管内塞栓術としてVenaSeal™ クロージャーシステムが保険適用となりました。瞬間接着剤(グルー)を注入して静脈を接着閉鎖する方法で従来の治療法と比して血管周囲への麻酔薬は不要であり、熱を使わないで治療できる方法なので、神経障害や皮下出血などの合併症が少ないことが報告されています。
当院でも実施可能ですので、患者さんにより適した方法を選択し治療させていただきます。
超音波ガイド下でClosureFast™ カテーテルを静脈に挿入し、治療の開始位置まで前進させます。カテーテル先端部を伏在大腿静脈接合部(SFJ)より約2cmのところに留置します。
続いて超音波ガイド下で、処置する静脈にTLA麻酔を実施します。これにより患者さんの疼痛を軽減し、血管周囲の組織を保護します。また、カテーテルと血管壁の接触性が強化されます。
カテーテル発熱部分の静脈を20秒間で一度に焼灼します。これをセグメンタルアブレーションと言います。
1回の焼灼終了毎に、カテーテルのシャフトマーカを確認し、次の部分に移動させます。ClosureRFG™ ジェネレータから高周波エネルギーがClosureFast™ カテーテルに送られ、静脈焼灼時は一定に制御されます。ClosureRFG™ ジェネレータのフィードバックメカニズムは血管内の熱パラメータをリアルタイムで監視し、治療に適切なアブレーションを行います。
カテーテルの熱により血管のコラーゲン線維が厚く変形し線維性閉塞が完成します。血流は自然に正常な血管を通るようになります。
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