八木 秀雄
- 院長代理
当科は、日本神経学会認定教育施設として脳神経内科全般の医療を行っています。
脳神経内科の病気(脳や神経に関する病気)は、ともすれば難病で治らないものと従来考えられてきましたが、近年の著しい医療技術や治療薬の進歩によって完治に近い病気や症状が軽くなる病気が増えてきています。
このような中、脳神経内科では治す医療、癒す医療を基本にして以下の方針・規範で診療・治療にあたっています。
診察により神経学的症状を的確に把握します。それにより必要な検査を患者さんの負担の少ないものから手早く行い、できるだけ早く診断を確定し治療につなげます。
上記の確定診断に基づいて、治すための治療戦略を立て、必要な治療を手際よく行っていきます。その場合、治療によって得られる結果が、医療行為や薬による副作用の可能性よりもはるかに患者さんの益することになることを充分理解してもらったうえで、治療を開始します。(インフォームドコンセント)
症状、診断、治療に対する説明を、患者さんやご家族がわかる言葉で納得していただけるまで繰り返し行います。体の病が心の病をも同時に引きおこすことがよくあるので、常に病気の治療とともに心のケアをあわせて行う視点を持ちます。
常勤医および非常勤医の合計9名のスタッフによって、脳血管障害、パーキンソン病などの変性疾患、脱髄疾患などの自己免疫疾患、脳炎などの感染症、末梢神経、筋肉疾患など脳神経内科特有の疾患全部を扱っております。
脳神経内科の救急医療としては、脳卒中センターの構成員として超急性期の脳梗塞に対して適応(4.5時間以内など)があれば、ただちに血栓溶解剤のt-PAの点滴投与を行い、必要ならば血栓回収も行っています。
脳神経内科独自の検査としては、筋電図、誘発筋電図、筋・神経生検、VBMやMRSなどがあり、これらの諸検査はすべて当院で施行しています。VBMやMRSの画像診断法を用いてさまざまな神経疾患の病態解明にも力をそそいでいます。
患者さんに対する病棟回診は1日1回以上(できる限り朝・夕の2回)を原則とし、定期的に行っています。主治医の休み・不在時には脳神経内科の他の常勤医が必ず代診を行っています。
外来患者総数 | 1,190.8人/月 |
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入院患者総数 | 504.7人/月 |
頭部CT | 210件 |
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頭部・頚部・腰部MRI及びMRA | 1,078件 |
脳波 | 152件 |
筋電図 | 826件 |
MRS | 9件 |
アミロイドPET | 72件 |
認知機能を調べる物忘れドックや認知症外来(紹介予約)も行っております。
当院の脳神経内科の扱う疾患は脳血管障害、めまい症、パーキンソン病、てんかん、脳炎・髄膜炎、認知症、正常圧水頭症などです。その他、末梢神経障害 (ギランバレー症候群、CIDPなど)、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、重症筋無力症などの変性疾患、自己免疫疾患を扱っています。
また、VBMやMRS(MRスペクトロスコピー)などの画像診断法を用いて、神経疾患のより深い病態の解明に取組み、その結果を診断・治療に結び付けています。
治療としては、超急性期の脳梗塞に対し、適応のある場合には血栓溶解剤t-PAの点滴靜注を施行しています。t-PAの点滴静注による閉塞血管の再開通率は当院では約35%です。
近年増えている認知症の診断や治療にも力を入れており、軽症ADに対しては抗アミロイドβ抗体のレカネマブ(レケンビ®)やドナネマブ(ケサンラ®)の投与を行っています。
また、脳血管性痴呆としてのビンスワンガー病では、その病態解明に力を注ぐとともに、抗凝固療法を積極的に施行し30~40%の割合で症状の改善を見ています。さらに、治療可能な認知症としての正常圧水頭症については、その診断、病態解明、および治療についても積極的に取り組んでいます。
ギランバレー症候群、脱髄性神経疾患、重症筋無力症などの自己免疫疾患については、ガンマグロブリンの大量療法を行い、必要に応じ透析センターと協力し、血漿交換を施行し病気の早期の回復をはかっています。
パスについては脳梗塞(軽症、重症、地域連携)、正常圧水頭症、神経・筋生検、CIDPのガンマグロブリン点滴療法について施行しています。
院内カンファレンスについては脳神経内科カンファレンスを1回 / 週行い、そこで入院患者さんの症状の評価や治療方針などを集団的に検討しています。また、脳神経外科および放射線科との合同症例検討会は1回 / 週ほど行っています。多職種と共同してチーム医療を心がけています。
脳神経内科の疾患に関して少しでも治療につながる可能性にある治験については積極的に受け入れております。現在、アミロイドベータ / タウ蛋白除去の治験2件と認知症の貼布薬に関する1件の治験を施行しています。
臨床(診断・治療)とともに疾病の解明の研究として以下の課題に取り組んでいます。
自分自身の成長をはかるため、基本となる神経学会および関連学会(神経病理学会、脳卒中学会など)への参加や発表を積極的に行っています。今後も、引き続き継続していきます。
脳神経内科研修医や臨床経験年数の短い医師に対して、脳神経内科医として到達すべき目標を明らかにして、達成課題のチェックを定期的に行い、必要な助言・指導を行います。
治す医療を基本に、治すために必要な医療技術や治療薬を積極的に取り入れていきます。これまでの超急性期の脳梗塞やビンスワンガー病、正常圧水頭症に対する治療はもちろん、変性疾患に対する治療も新しく展開していきます。
また、いまだ治療法の確立していない脳神経内科疾患に対して、MRS、PET、VBMなどの画像検査を用い、その病態解明に大きな力を注ぎます。さらには、他の病院の脳神経内科グループと協力・共同して新しい薬や治療法に関する研究・治験を行い、脳神経内科疾患に対して有効な薬や治療法を見つけていくことにも力を注いでいきます。
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