6月23日(月)第一回 医仁会 救急隊Strokeセミナーが開催されました
2025年6月23日(月)、武田総合病院にて「第一回 医仁会救急隊Strokeセミナー」が開催されました。
テーマは「LVOスケール評価」で、救急隊員と病院間の連携強化、特に血栓回収療法とtPA適用の迅速な判断とスムーズな連携を目指した内容となりました。
川西副院長は開会のご挨拶で、一昨年より京都で初めて脳血管内治療装置を導入、昨年からは脳卒中コアセンターとして脳救急医療に注力し、脳梗塞をはじめとするあらゆる脳血管疾患に対する血管内治療の全対応体制を整えたことを報告。救急隊の的確な初期評価と迅速な搬送の重要性を強調し、今後の協力に謝意と期待を述べられました。
救急医療センター 杉江センター長は救急医療における最近の話題を提供し、脳卒中診療の最新動向や課題等を共有しました。
山田脳血管内治療部部長は「取れる血栓、取れない血栓」をテーマに講演。
血栓の種類(血小板血栓、フィブリン血栓、アテローム血栓)ごとの特徴や形成メカニズム、治療法の違いを解説し、血栓回収療法の適応判断の重要性を強調しました。
「取れる血栓」と「取れない血栓」の概念を説明し、現状では後者が多いという実情を伝え、迅速な判断の必要性を訴えました。具体的には、血小板血栓は血管壁に付着して成長し、剥がれやすくなったものが血流に乗って移動し、脳血管を閉塞させる可能性があること、フィブリン血栓は血液が固まってできる血栓で、血流の遅い場所や不整脈がある場合に形成されやすいこと、アテローム血栓は血管壁に蓄積した脂肪などが剥がれて血栓となることを説明しました。
さらに、これらの血栓が脳血管を閉塞させるメカニズムや、それぞれの血栓に対する治療法の違いについても解説されました。
質疑応答では、脳卒中プロトコール及び脳卒中を疑う患者の搬送に関する調査票について、活発な議論が行われました。
項目の妥当性や評価の難しさ、提出基準など、現場での課題や疑問点が多数挙げられました。特に、空間無視の評価については、意識レベルの高い患者には4本指テストを推奨する意見や、評価が難しい症例もあるため、更なる検討が必要であるといった意見が出されました。
また、報告書の提出基準についても、現状の「2項目以上該当で提出」から「1項目でも該当すれば提出」に見直す提案があり、多くの参加者が賛同しました。
閉会のご挨拶で杉江センター長は、セミナーで得られた知見を今後の連携強化に活かすこと、24時間365日対応の脳卒中ホットラインの積極的な活用を呼びかけました。
今回のセミナーを通じて、救急隊員と病院が一体となって脳卒中患者に迅速かつ適切な治療を提供できるよう、協力体制の更なる強化が期待されます。