04. 高齢者の急な腰痛、ぎっくり腰ときたら?

高齢者が急に腰痛を訴えた時

真っ先に考えなければならないのは、背骨の圧迫骨折です。骨折というと何かケガをしたときに生じると思われがちですが、ケガがなくても起こるのがこの圧迫骨折です。身体をひねった、高いところのものを取ったなどといった日常生活の普通の動作で起こりますし、何にもしていないのに朝起きたら激痛があったりするのも、圧迫骨折の特徴のひとつです。

圧迫骨折とは、どんな骨折ですか?

骨折とは、通常、骨の連続性(つながり)がなくなった状態のことを言います。圧迫骨折の場合、骨はつながっているのですがその名の通り軸方向(縦方向)に圧迫力が加わって、徐々に変形が生じてきます。

圧迫骨折はレントゲンでわかりますか?

骨の変形はわずかなため、骨折してすぐ(超急性期)のレントゲン写真ではわかりにくいのです。急性期に明らかに骨が変形している部分は、しばしば古い骨折のことがあります。

どのような場合に、圧迫骨折と診断されますか?

高齢者で、体動時(寝返りや起立動作など)に背中の激痛がある場合は、まず圧迫骨折を疑わなければなりません。また、痛い場所を押すと、激痛の訴えがあります。急性期に単純レントゲン写真でわからないときは、MRI検査が有用です。

【図1】MRI検査での画像例

矢印のように左側の写真で黒、右側の写真で白く写っているのが新しく圧迫骨折を生じた部分(痛みの原因となっている)です。古い圧迫骨折(星印)は変形していますが、周りの骨と同じ色で、痛みの原因にはなりません。

圧迫骨折はどのように治療しますか?

折れた直後は安静をとらざるを得ませんが、ギブスを巻いたりコルセットをして、できる限り背骨がぐらぐらしないようにすることが肝心です。どうしても痛みが取れないときは、折れた背骨に針で骨セメントを注入する方法もあります。

圧迫骨折を放っておくとどうなりますか?

大部分が変形を残しながらも治癒します(固まります)。時に背中が極端に曲がって慢性の腰痛になったり、折れた背骨が脊柱管内に飛び出して神経麻痺が生じたりすることがあり、これらの場合は手術を要することがあります。

 

脳神経外科 川西 昌浩、横山 邦生

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