【Iru・miru 健康通信】「高齢者に見られる関節の痛み」(たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世)
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年を取ると関節の痛みを訴えることが多くなりますが、そこにはさまざまな原因があり、的確に診断することが適切な治療のために大切です。
変形性関節症
最も多い関節の病気で、加齢により関節の軟骨が変性し、骨同士が擦れ合うようになり痛みが出ます。手指第1関節、膝、股関節、脊椎など荷重がかかる関節に多く見られ、手指第1関節の骨隆起はヘバーデン結節と呼ばれます。治療には痛み止めや関節内のヒアルロン酸注射などが行われますが、進行すると人工関節手術が必要になることがあります。
関節リウマチ
近年は60-70歳代以上の高齢発症リウマチが増えており、関節の腫れと痛みが全身の関節に起こりますが、特に手指と手関節、足趾は高頻度です。進行すると関節が変形し障害を残すため早期診断治療が重要です。近年、リウマチの治療法は格段に進歩し、強力な治療により病気前と同じ生活を送れるようになりました。
リウマチ性多発筋痛症
人口の高齢化に伴い我国で増えており、急激に発症する首、肩、上腕、大腿、腰背部などの筋肉や関節の痛み、朝起床時のこわばり感、炎症反応高値を示す原因不明の炎症性疾患です。少量のステロイドで劇的に症状が改善することから、早期診断と早期治療が重要です。
RS3PE症候群
予後良好(R)、リウマトイド因子陰性(S)、対称性(S)の滑膜炎(S)、圧痕性浮腫(PE)の英語の頭文字をとって名付けられました。急性に発症する手や足の左右対称に起きる関節炎で、手や足に押すとへこむ浮腫を伴うのが特徴です。炎症反応は高値を示します。リウマチ性多発筋痛症と同様に少量のステロイドが奏功します。
偽痛風
関節軟骨にピロリン酸カルシウム(CPPD)結晶が沈着し、関節内に剥がれ落ちて炎症を起こす病気です。膝、手、肘、肩、股関節、足などの大きな関節が突然腫れて痛み、しばしば高熱を伴います。X線で関節軟骨の石灰化、関節液中にCPPD結晶が確認されれば診断がつきます。ジクロフェナクなどの強い痛み止めで治まりますが、短期間のステロイド内服や関節内注射を行うこともあります。

たけだ膠原病リウマチクリニック
所長 三森 経世
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。