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【Iru・miru 健康通信】「腱板断裂」(十条武田リハビリテーション病院 整形外科医長 南 昌孝)

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Q. 腱板とは?

 肩関節は肩甲骨と上腕骨がつながってできていますが、骨だけでは不安定なため、筋肉や靱帯が支えています。特に深い部分にある筋肉群を「インナーマッスル」と呼び、肩の場合は「腱板」にあたります。腱板は、棘上筋(きょくじょうきん)・棘下筋(きょくかきん)・肩甲下筋・小円筋の4つの筋肉からできていて、それぞれの腱が合わさって板状になっているため、この名前がついています。

Q. なぜ腱板が断裂するの?

 腱板は、肩の骨の間(肩峰と上腕骨頭)に位置しており、年齢とともに断裂しやすくなります。インピンジメント症候群と呼ばれる状態では、腱板が骨に引っかかって擦れ、擦り切れて穴が空いてしまうのが腱板断裂です。スポーツやけがだけでなく、洗濯などの日常動作でも負担がかかり、肩の負荷を繰り返すと断裂が生じることがあります。特に50代以降では、10人に1人以上は見られる比較的メジャーな疾患で、初期は痛みがない場合もあります。

Q. 診断や治療は?

 レントゲンでは腱板が映らないため、超音波検査や必要に応じてMRI検査を実施します。四十肩・五十肩と思って来られる方もいらっしゃいますが、腱板断裂の場合では、腱板があるべき位置に見えないことが超音波検査で確認できます。治療は、約半数の方がリハビリで腱が引っかからないようにすることで症状が改善します。併せて痛みを和らげるために投薬や注射も行います。もう半数の方は手術が必要となり、関節鏡というカメラを用いて、骨にアンカーという固定具を埋め、腱を縫い付ける方法が主流です。断裂が大きかったり、骨の変形が強かったりする場合に、リバース型人工関節という人工関節が使われることもあります。

Q. 腱板断裂の予防のために気をつけることは?

 猫背など姿勢の悪さによって腱板が引っかかりやすくなるため、良い姿勢と良い体の使い方を保つことが日常生活における腱板断裂の予防につながります。肩の痛みが続くときは放置せず、できるだけ早く医療機関を受診するようにしましょう。

十条武田リハビリテーション病院

整形外科医長 南 昌孝

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

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