【京都新聞朝刊 医療のページ】「腱板断裂」(十条武田リハビリテーション病院 整形外科医長 南 昌孝)
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良い姿勢・生活習慣維持を
Q.腱板(けんばん)断裂とは。
肩関節は肩甲骨に上腕骨がつながって構成されています。腱板は肩甲骨の良い位置に上腕骨が安定していられるような働きをしている筋肉と腱であり、インナーマッスルの一つです。その腱板が切れてしまうことを腱板断裂といいます。腱板はけがによって断裂することもあれば、引っかかりを繰り返すことで擦り切れることもあります。中高年に多く、ある調査では痛みの自覚症状がなくても60代以上の5人に1人に腱の断裂が見られたといいます。
Q.どんな症状が出るのか。
よくあるのは、腕を上げるごとに痛みや引っかかる感覚があるという症状です。特に60度から120度の間に痛みを感じることが多いとされています。
腕を上げると肩峰(けんぽう)といわれる肩甲骨の上の庇(ひさし)側の部分に腱が引っかかり、何回もこすれるうちに穴が開きます。それが切れてしまうことで痛みが出ます。また、炎症が強い場合は、夜の就寝時に痛みを感じることもあります。
Q. 治療法は。
断裂の程度によりますが、一般的には半数の方がリハビリテーションで改善します。通院してリハビリテーションを受け、家庭でも機能訓練を行います。残った腱板の筋肉を鍛え、上腕骨のバランスを調整することで、痛みが出ない良い位置の獲得を目指します。
注射や投薬で痛みを和らげることも可能です。症状が改善しない場合は手術で治療することがあります。最近は関節鏡を使う手術が主流で、小さい傷からカメラで中を見ながら残った腱板をあるべき位置に縫合します。手術しないで済むよう、痛みを放置しないで早期に診断を受けることが大切です。日頃の良い姿勢や良い生活習慣も、予防や再発防止になります。

十条武田リハビリテーション病院
整形外科医長 南 昌孝
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。