03. 受診すべきかどうかの判断は?―子どもが頭を打ったとき―

子どものけがの中でも、とくに頭を打った場合、どのような時に病院を受診すべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。受診すべき基準や病院でCTをとるべきかどうかなどについて、さまざまな研究に基づいて説明します。


病院を受診した方がいい場合

意識がはっきりしない(起こしても起きない、うとうとする)、ひきつけを起こした、手足に力が入らない、おでこ以外の場所にたんこぶがある、一瞬意識を失った(すぐに泣き出さなかった)、90cm以上の高さから転落した、親から見ていつもと様子が違う、興奮する、すぐにうとうとしそうになる、嘔吐した(特に2回以上)、2歳以上のお子さんでは、激しい頭痛を訴える場合、同じ質問や内容をくりかえして話す、打った時の記憶がない、とんちんかんな受け答えをする場合などです。このような場合は、医師が診察した上で、必要と判断されれば、頭部のCT検査を行うこともあります。

320列CT装置

頭部のCT検査を行った場合のリスクは?

医者は、乳幼児にはなるべくCT検査を控えた方がいいと考えています。頭部CT検査を2~3回受けることで、脳腫瘍のリスクは3倍、5~10回受けることで白血病のリスクが3倍になると言われているからです。ただし、診察の上でCT検査が必要と判断された場合は、撮影して病態をきちんと確認すべきです。

頭部のCT検査を受ければ安心でしょうか?

頭部のCT検査の結果、異常がない場合でもすべての病変を指摘できるわけではなく、後から頭蓋内に出血することもありえるので、半日くらいは経過をみることが大切です。家に帰ってから、頭痛・嘔吐がある、機嫌がいつになく悪い、すぐうとうとするなどの異常がみられた場合は、再受診することが必要です。

【参考文献】
PECARN Lancet 2009;374:1160-1170
CATCH CMAJ 2010;182:341-348
CHALICE Arch Dis Child 2006;91:885-891

脳神経外科 川西 昌浩、杉江 亮

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