武田病院グループ:保険・医療・福祉のトータルケアを提供する京都の病院

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たけだ通信 No.105(8月発行)

武田病院グループ会長 武田隆男

京都って素晴らしいよね!

photo_kaicho.jpg【エッセー】
武田病院グループ 会長
 武田 隆男

■京都って素晴らしいよね!

会合などで他府県の方にお会いすると、「京都にお住まいですか。羨ましいですね」と言われる時があります。京都に住んでいる私達にとっては、木造の建造物は少なくなり、高層ビルばかりになったし、渋滞する車の列や寒暖の厳しさなど、そんなに有難味を感じないのですが、よその府県の人からすると、贅沢な限りのようです。

先日、新聞を読んでいたら、『外国人「京都って素晴らしいよね!」〜人気観光都市ランキングに京都が初の1位を獲得〜』と、大きな見出しを見ました。
世界で最も影響力のあるアメリカの旅行雑誌『トラベル+レジャー』が、読者投票による2014年の人気観光都市ランキングで、京都が初めて1位になったというのです。

それによると、1位の京都は90.21点で、90.18点で2位のチャールストン(米サウスカロライナ州)や、誰もの憧れの都であるイタリア・ローマ(5位、89.99点)、トルコのイスタンブール(6位、89.58点)などを追い抜いたのです。高得点の評価としては、「古都の魅力は桜や寺院、庭園に勝る」とか、「町屋ほど趣のある宿泊施設はまれだ」(ニューヨーク・タイムズ)などで、日ごろ見慣れている風景を、風情と感じない京都人の一面を指摘された気がしました。

とはいえ私も、国内各地や外国を訪れる際には、必ずスケッチブックを持参することにしています。画家・池田良則先生の不肖の弟子として、暇を見つけては画作にいそしんでおり、「たけだ通信」毎号の表紙にも掲載させていただいておりますし、グループ病院や施設の患者さんや入所の方々への癒しの一助にと、廊下に掲示させていただいております。

過日、たまには京都の街並みを描いてみたいと思い立ち、上京区の下町を歩いているうちに見つけました。やっぱり、京都は千二百有余年の都です。少なくなったとはいえ、老舗の木造家屋などが軒を連ねている箇所に出合い、スケッチや写真撮影のために数日、足を運びました。

江戸時代の文政年間後期に創業の「豆腐 入山とうふ」と、年期の入った暖簾がかかり、リヤカーを曳いて、豆腐を売り歩いたであろう錆びついた自転車が、軒下に立てかけてある様子など、すっかり魅入られてしまい、一気に描き上げました。「豆腐屋八代目〜京都御所界隈〜」の画題で、第47回「政経文化画人展」(芸術議員連盟主催)に出品したところ、思いがけず内閣総理大臣賞をいただくことになりました。

これまでに、各界で活躍される方々が所属する「チャーチル会」の作品展では、幾度か入賞経験はあるのですが、こんな立派な賞をいただいたうえ、「古き良き街並みを上品に表現した世界観が評価されます」との審査評も頂戴しました。今後も、「美しいものをより美しく」を目標に画作に精励するとともに、職員の皆さんにも、「忙しさの中にも潤いや趣味への誘いも忘れないように」と呼びかけているところです。

閑話休題、医療界を取り巻く環境は、相変わらず厳しいものがあります。「アベノミクス」(安倍経済成長戦略)の一環として、消費税8%引き上げにより、一部を社会保障の充実ということです。

しかし、医療・介護の経済の削減のため、医療体制の変化を求めていますが、机上のプランだけでなく、現場の状況を正しく把握した上で、現在、医療関係に従事している人員がどれだけ増加しているか認識した上で、我国民の給与の上昇を謳っていることとの整合性を高めてもらいたいと思います。国民の健康に対する安心、安全を守るため、医療の進歩と高度化に見合ったコストを考えていかねば良質な生活は守れないと思います。

また、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加は必要ですが、混合診療と医療への株式会社参入の解禁を認めてしまっては、日本の平等で良質な医療システムである国民皆保険制度を終焉の危機にさらすということになります。問題が起こらないようにしていただきたいものです。

医療環境の厳しい中にあっても、武田病院グループとしましては、多くの患者さんやご家族の安全、安心の願いをお預りしている以上、片時とも立ち止まるわけにはまいりません。これからも先進医療の推進はもとより、「患者さんとの間に思いやりと安心の架け橋(Bridge The Gaps)」を目指して、確かな医療の提供に尽くしてまいる決意でおります。医療スタッフをはじめ、全職員一丸となって業務にまい進していただくようお願いいたします。

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