【Iru・miru 健康通信】「インフルエンザ」(武田総合病院 薬局長 馬瀬 久宜)
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Q. 今年のインフルエンザ動向は。
インフルエンザの流行期が、全国的に平年より約2カ月早く始まりました。京都府でも、大流行と呼ばれた昨年で11月中旬頃でしたが、今年はすでに9月初旬に流行期に突入しています。これから空気の乾燥と気温の低下が進むにつれ、さらに感染拡大のピークを迎える見込みです。コロナ禍で徹底されていた感染対策も緩みつつあり、注意が必要です。
Q. ワクチンの新たな動きを教えて。
10月から今シーズンのインフルエンザワクチン接種が始まりました。今年から日本のワクチンは4価から3価へと変更されましたが、効果が低下するわけではなく、むしろ現在流行中の株に特化したといえます。2024年には、2歳以上19歳未満を対象とした点鼻薬タイプのワクチンも国内で承認されました。注射が苦手な小児でも接種しやすいのが特徴です。これらのワクチンは、医師が必要と判断した場合、他のワクチンとの間隔を空けなくても接種可能です。新型コロナなどの感染症も同時流行が懸念されるなか、ワクチン接種は完全防御ではないものの、重症化リスクを下げる有効な手段とされています。さらに、来年には「高用量インフルエンザHAワクチン」の導入も予定されています。60歳以上で糖尿病や心疾患、呼吸器疾患などの基礎疾患がある方などを対象としており、重症化予防に大きく期待されています。
Q. 症状と対策。
インフルエンザの症状は風邪と似ていますが、38度以上の高熱や関節痛など、全身症状が急激に現れるのが特徴です。発症から48時間以内に医療機関へ受診し、抗ウイルス薬を服用すれば効果的です。他の感染症や疾患でないという区別にもなり、長期化を防げます。感染症対策で最も重要なのは、「他人にうつさない」意識です。高齢者や基礎疾患を持つ方、子どもなどが感染すると重症化する可能性があります。冬季は特に健康管理に努め、咳やくしゃみの症状がある方はマスクを着用し、手洗い・うがいの習慣を心がけましょう。
武田総合病院
薬局長 馬瀬 久宜
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。