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【京都新聞朝刊 医療のページ】「心不全」(武田病院 循環器センター長 木下 法之)

メディア

まず生活習慣病の治療から

Q.心不全とは。

血液を循環させる心臓のポンプ機能が低下する状態です。高血圧や糖尿、コレステロールの値が高いといった生活習慣病と密接に関連し、不整脈、弁膜症、狭心症など心臓の疾患が原因で悪化します。加齢に伴って徐々に心機能が落ちていくため、超高齢社会を迎えて患者数が増えています。
主に動悸(どうき)や息切れといった症状のほか、足や顔のむくみ(浮腫)を自覚される方が多いです。悪化すると、肺に水がたまる胸水などが起き、入院治療が必要となります。心機能を元通りに治すのは難しく、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴の一つで、入退院を重ねるうちに重症化し、最終的に死に至る場合もあります。

Q.診断と治療は。

心不全によく効く新薬が開発され、初期段階なら薬剤投与で症状の進行を最小限に食い止められます。また、狭心症や心房細動など基礎疾患を治療することで改善が期待できます。
このため、早期に症状を把握して手当てすることが重要です。最近は血液検査で診断できるBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)やNT-proBNP(N-末端型BNP)といった心不全マーカーが推奨されています。かかりつけ医の先生に採血データで判断してもらい、精査が必要なら循環器内科など専門医にご相談ください。

Q. 注意点は。

高齢者に多い病気であり、治すと言うより、自宅で元気に暮らせるように悪化を抑えつつ、根気よく病気と付き合うことが大切です。まずは高血圧など生活習慣病をきちんと治療し、水分と塩分の適切な制限を守ること。昨今、熱中症対策で水分補給と塩分チャージが必須といわれますが、心不全を引き起こすリスクがあり、要注意です。血圧と体重のチェックを怠らず、体調管理も心がけてください。

 

武田病院

循環器センター長 木下 法之

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

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