【京都新聞朝刊 医療のページ】「足や腰の痛み」(武田総合病院 副院長 川西 昌浩)
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「年のせい」と思わずに相談を
Q.歩けなくなるのは年齢のせい?
例として、腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症の疑いがあります。「歩くとすぐ足が痛くなる」「買い物でカートにつかまらないと歩けない」といった症状は、単なる年のせいとは限りません。背骨やじん帯が加齢とともに厚くなると、神経の通り道が狭まり、足腰に痛みやしびれが出ることがあります。前かがみや腰かけで楽になるのが特徴で、進行すると歩行距離が短くなり、生活に影響します。特に60歳代後半から増える傾向があり、放置すると外出が減り、活動範囲が狭まります。
Q.放置しても大丈夫?
軽い症状なら薬や体操で改善することもありますが、「歩ける距離が前より短くなった」と感じたら要注意です。早期に受診すれば、顕微鏡を使った体にやさしい手術などで歩く力を取り戻せる場合もあります。治療には薬やリハビリ、注射などもあり、症状や体の状態に合わせて選べます。「年齢だから仕方ない」と放置せずに相談することが大切です。
Q. 突然の腰痛の原因は。
高齢者で急に腰が痛くなった場合、骨粗しょう症による圧迫骨折にも注意が必要。転倒だけでなく、くしゃみや布団から起き上がるときでも骨にひびが入ることがあります。強い痛みで寝返りすらできず、数日間動けない状態になると、足腰の筋肉が急激に弱り、寝たきりのきっかけになります。骨粗しょう症は自覚しにくいため、日ごろからの検査や予防が重要です。
「これまでにない強い痛み」「急に動けなくなった」ときはできるだけ早く受診してください。足や腰の痛みを軽視すると、筋力低下だけでなく体全体の衰えや認知機能の低下にもつながります。健康寿命を守るためには、「年のせい」と思わず、医療機関に相談することが第一歩です。 

武田総合病院
副院長 川西 昌浩
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。
 
  
  
 