【Iru・miru 健康通信】「高齢社会を迎えて 一人ひとりのウェルビーイング― 見逃せない体からの「小さなサイン」 ―」(武田総合病院 副院長 川西 昌浩)
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Q. 歩くと足が重く感じ、休むと歩けます。年のせいですか?
そうとは限りません。腰の中を通る神経の周りが狭くなり、歩くとお尻や足にしびれや重だるさを感じることがあります。前かがみになると楽になるのが特徴で、「少し休むとまた歩ける」ことがサインです。歩く距離が短くなってきたら、体の動きに気づきにくい衰えが進んでいる可能性があります。
Q. きっかけもなく急に腰が激しく痛みます。ぎっくり腰ですか?
ぎっくり腰のこともありますが、それとは別に、日常のちょっとした動きやくしゃみで背骨にヒビが入ることがあります。転んでいなくても、朝起きたときに強い痛みが出るのは「気付かないうちの骨の小さな変形」が原因かもしれません。その場合は早めに診察を受けることが大切です。
Q. 腰の検査で「神経の通り道が狭い」と言われました。すぐに治療が必要ですか?
そう診断されても、必ずしもすぐ治療とは限りません。症状が日常生活にどれだけ影響しているかが大切です。軽い変化なら薬や体操、生活の工夫で様子を見ることも多いです。ただし、歩ける距離が以前より明らかに短くなったと感じるなら、体からのサインと考え、医師への相談をお勧めします。
Q. 日常生活で注意すべき“体からの声”は?
「歩くと足がしびれる」「少し休むと歩ける」「カートが手放せない」「歩ける距離が急に短くなった」などは見逃せない変化です。また、「朝から急に腰が痛い」「少しの動作で激痛が走る」といった症状も、専門家に相談する合図です。
Q. 受診すると、どのような対応になりますか?
多くは薬や体操、姿勢や動き方の見直しから始めます。それでも改善しない場合は、注射や手術も検討されます。ただし生活への困り具合や体の状態に応じ、無理のない方法を選ぶことが基本です。早めの相談が、将来も自分らしく動き続ける生活につながります。
ー 当院では、脊椎・脊髄、末梢神経までトータルに対応しています。「年のせい」と」片付けず、「いつもと違う」痛みや変化に気付いたら、まずは専門家に相談しましょう。

武田総合病院
副院長 川西 昌浩
※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。