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【Iru・miru 健康通信】「IgG4関連疾患」(たけだ膠原病リウマチクリニック 所長 三森 経世)

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Q. どんな病気?

 聞きなれない病気かもしれませんが、IgG4 関連疾患は、21世紀に入って我国で提唱され世界に認められた病気の概念です。全身の臓器に腫瘤を形成する原因不明の慢性炎症性疾患で、血液中の免疫グロブリンの一種であるIgG4というタンパク質が高値を示すのが特徴です。それまでは異なる病気と考えられていたものが一つの病気の一形態であることがわかり、IgG4 関連疾患と総称されるようになりました。涙腺・唾液腺、膵臓、胆管、腎臓、下垂体、甲状腺、リンパ節、肺、後腹膜、大動脈周囲などにしこりができ、単独または複数の組み合わせでこれらの病変が見つかります。高齢者に多い傾向があり、男女比はほぼ1:1です。しばしば花粉症や喘息などのアレルギー疾患を合併することがあります。

Q. 診断は?

 左右対称的な上眼瞼(涙腺)や顎の下(顎下腺)のしこりで気づくことが最も多いです。内臓の病変はそれぞれに応じた様々な症状を呈しますが、進行しないと無症状のことも多く、超音波検査、CTやMRI検査などで偶然発見されることもあります。血液検査でIgG4の値が上昇し、組織の生検でIgG4陽性形質細胞の増加が見られれば診断は確定します。しかし、膵臓や後腹膜などの体の奥深い場所の生検は難しいことも多く、その場合はIgG4の高値と画像所見から判断します。悪性リンパ腫などの腫瘍と間違えられることも多いので注意が必要です。

Q. 治療は?

 グルココルチコイド(GC)が良く効くことが特徴です。通常は中等量(プレドニゾロン0.5mg/kg)で開始し、ゆっくり減量していきます。減量のスピードが速いと再燃することが多いので、慎重に減量します。GCが効果不十分の場合や再燃を繰り返すときは免疫抑制薬を併用します。最近イネビリズマブというB細胞のCD19分子に対する抗体製剤がこの病気で保険適用となりました。しかし非常に高価な薬なので、難治性で重大臓器病変など適用は限られます。
 瞼や顎の下の腫れを認める時はIgG4関連疾患を疑って専門医を受診されることをお勧めします。

たけだ膠原病リウマチクリニック

所長 三森 経世

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。

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