武田病院グループ:保険・医療・福祉のトータルケアを提供する京都の病院

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たけだ通信 No.108(10月発行)

武田病院グループ理事長 武田隆久

地域に最新の医療を提供お一人おひとりの患者さんを大切にした未来の医療を支える体制づくり

photo_rijicho.jpg【トピックス】
武田病院グループ 理事長
 武田 隆久

高齢化のピークを迎える2025年に向け、医療・介護をはじめとする日本の社会保障システムは大きく姿を変えようとしています。こうした体制づくりに加え、「医療技術の進歩」を考えに加えた、新たな保健医療政策のビジョンである「保健医療2025年」がまとまりました。武田病院グループも、保険医療をベースとした様々な課題に真摯に向き合い、未来へ続く地域医療の提供に向け、気持ちを新たに対応していく考えです。

充分な治療〞の堅持に意見発信にも努める

 国の財源問題で頻繁に取り上げられる社会補償給付費。全体で115兆円もあり、年金がほぼ半分の56兆円、医療は37兆円で介護が9・5兆円あります。規模は毎年1兆円ずつ増加しており、これをできるだけ削減していくのが国の考え方です。そのためには、医療などの制度が破たんせず長く続けられるよう、過度な入院・治療を減らし、「治す医療」から「治し、支える医療」へ転換していこうというものです。

 大切な医療などの保険システムを維持するために、費用対効果を考えることはもちろん必要で、こうした考えを否定するつもりはありません。しかし、錦の御旗のように、この考えを過度に用い過ぎていないでしょうか。

 これまでの医療政策を見る限りでは、我々医療者が昔から行なってきた、患者さんを「支える医療」とは、実は異なるものを差しているのではないかと感じています。

高齢化が進行すれば、複数の疾患を持った患者さんが入院されるケースが多くなります。相応の入院期間を要するケースが少なくないにもかかわらず、特定の疾患部分だけをみて治療期間を最小限に見積もり、1日も早く在宅にもっていこうとしているのではないでしょうか。

 費用対効果、医療経済はもちろん大切ですが、これを最優先として制度をリフォームするとき、「支える医療」が示すものが、不十分な治療につながらないか、甚(はなは)だ懸念が残ります。

 当グループではこうしたことにならないよう、お一人おひとりの患者さんの状態をみて、丁寧に対応していくことを尽くしていくとともに、医療提供の責任を負うものとして、意見を伝えていきたと考えています

脊椎疾患の治療に最新の医療システムを導入

 武田病院グループがめざす医療の一つが、最新の医療を地域で提供すること、そして患者さんの負担を出来るだけ少なくする低侵襲医療の促進です。

 今回、康生会武田病院では、脊椎疾患の治療分野で最新の手術システムを複数導入しました。一つは現在、最も低侵襲とされる「経皮的椎間板摘出手術システム(PED)」です。これは、椎間板ヘルニアの患者さんに対し、椎間板の後ろにあるトンネル状の空間に内視鏡を設置。カメラで確認しながら椎間板を摘出します。2泊3日の退院が目安です。またPEDは、椎間板内を洗浄することが可能であり、化膿性脊椎炎の治療にも有効な治療法です。

 もう一つは、軽度の脊柱管狭窄症(腰部)や椎間板ヘルニアを対象とした「脊椎内視鏡下手術システム(MED)」です。これは、背骨から筋肉を剥離せずに2cm弱の円筒を設置し、筒を傾けながら、骨・じん帯・椎間板ヘルニアの処置や癒着した神経を剥がす手術です。筋肉の損傷が少なく、術後の疼痛(うずく痛み)が少ないため、おおよそ1週間での退院が可能となります。

 さらに、3Dイメージを導入しました。手術中にCT撮影が可能なため、脊椎除圧術の除圧範囲の確認や脊椎固定の際にインプラントの設置が正しくなされているか確認することが可能です。これらの手術システムを導入することにより、低侵襲で安全で正確な質の高い医療提供につなげていきます。

先端科学の医療活用にHonda歩行アシストを導入

 2011年に、軽やかな動作で世界を驚かせた二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」は記憶に新しいと思います。本田技研工業株式会社は、この開発ノウハウを応用した医療用の歩行訓練機器「Honda歩行アシスト」を完成させました。

 これは、リハビリテーションを受ける患者さんが、上手に歩けるよう最適な動きをアシストしてくれるものです。例えば、脳卒中による片麻痺状態になると上手に歩くことは出来ませんが、このHonda歩行アシストを装着すれば、その動きに応じてサポートし、倒立振子モデルに基づく〝効率的な歩行〞の姿勢へとモーターの力で導くのです。

 当グループでは、十条武田リハビリテーション病院に導入します。リハビリテーションの質は、スタッフの〝人の手〞による技術が基本となりますが、これに加え、こうした先端分野も積極的に取り入れ、提供するリハビリテーションメニューのさらなる拡充を図っていく考えです。

次代を担う子供の育成へ十条たけだ保育園を開設

 これからの医療を支えるのは、保険制度や最新の医療技術ばかりではありません。医療スタッフの働きやすい環境をつくること、そして新しい世代の育成に関わることが重要です。武田病院グループの各施設では院内保育所を設置し、お子さんの近くで安心して働ける環境づくりを行なっています。

 さらに十条武田リハビリテーション病院では、小規模型事業所内保育施設「十条たけだ保育園」を開園しました。

 子育てと仕事を両立する職員や地域の方が安心して仕事が出来る環境づくりで、より良い医療・介護の提供につなげていくのはもとより、お子さんの「夢」「考える力」「行動力」を育む環境づくりもめざしています。

 武田病院グループでは、保険医療の提供者としてそのあり方を考え、また地域においては最新・低侵襲・安全な医療の提供と次代の育成に尽くしてまいります。今後とも皆様のご支援、ご鞭撻を宜しくお願い致します。

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