武田病院グループ:保険・医療・福祉のトータルケアを提供する京都の病院

  1. トップ
  2.   >  広報・読み物
  3.   >  たけだ通信

たけだ通信 No.108(10月発行)

武田病院グループ副理事長 武田道子

余生などとは云わないで!

武田 道子 副理事長
武田病院グループ 副理事長

康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
 武田 道子

■余生などとは云わないで!

 超高齢社会へまっしぐらの現代です。元気なお年寄りが多くなり、定年もどんどん延びて来て居ります。現役時代バリバリと働いて来られた人の中には、定年と同時に糸の切れた凧のように、自分の行き方を見失いがちになられる方も居られます。又、この時を絶好のチャンスと捉え、現役以上に充実した人生を楽しむ方も御座居ます。

 高齢化社会が始まった頃は、マイナス面のことばかりでしたが現在は違います。ありあまる時間を如何に使って行くか。老後の人生の生き方は楽しく生きられるように設計されなければなりません。バラ色の人生、高齢者に求められている役割があることを忘れず、プラス思考で元気に楽しく過ごすことです。

 日野原先生は10年後の予定をたてれば人生は長く生きられるとおっしゃいました。人間大きな病気が無ければ120才迄生きられるのです。更に今は再生医療、山中教授のiPS細胞も、もう間もなく医療に使われる日がやってまいります。

 現役時代バリバリと活躍して居られた人ほど、定年と同時にぐんと老け込む人をよく見かけます。定年で淋しくなったと考える人、自由な時間が出来たと感じる人、いろいろですが、あり余る時間が出来たので、人生を楽しもうと感じる人は長生き出来ると思います。年をとれば気楽に、自分にとってよい加減の人生を求めて行けば、よい人生を送ることが出来るのです。

 104才現役の日野原先生の健康法は〝らく〞をしないこと。つまり階段を昇って、エレベーターなどは使わないこと。一段とばしにあがって行かれます。更に重たい荷物、本を持って来られます。〝らく〞をしていると、最後に苦労が訪れると申します。確かに〝楽〞をして人生を過ごして来られた方は苦労をして学んだ人に、人生を追い越されてしまいます。

 今や人間は90才はおろか、100才のハードルを越えるかと云う時代になりました。若い頃からつちかって来た、巧みの技を労力を使わずして後輩に教えられ、生涯現役で心も体もお元気に過ごすことが出来る時代になりました。そこにはバラ色の人生が待って居ります。老後の人生などと考えなくても、多少加減しながらも働くことが出来たら、それはすばらしい人生でしょう。働いて下されば収入もあり、世の中の景気もよくなります。退職された後はボランティアなどで社会に貢献して下されば脳細胞も再生し、唄ったり、笑ったりの人生を楽しんでいただけます。

 独食が一番よくないと云われて居ります。〝老いては子に従え〞と云う言葉がありますが、子を従えるような老人になって下さい。老後は人生でもっとも自分らしく生きられる時期だと思います。

 定年は人生の終りではなくて始まりです。ものを与えられるだけで、与えることを知らないまま成長して来た子供達は、他人を思いやることが出来ません。思いやりの心、人にやさしく接する心、いつくしみの心を持った子供を育てることが大切です。気配りの出来る人間に育てておけば、近年のように老人を邪魔者扱いする者はなくなるでしょう。現在のような恐ろしい事件が起こるのは、子育ての失敗が原因ではないでしょうか。定年後の人生を、余生などとは云わないで、ありあまる時間を使って新しい人生街道を進んで下さい。そこには、バラ色の人生が待って居ります。

前の記事 一覧を見る 次の記事

Copyright © 2014 Takeda Hospital Group. All rights reserved.