武田病院グループ:保険・医療・福祉のトータルケアを提供する京都の病院

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たけだ通信 No.90 (11月発行)

武田病院グループ会長 武田隆男

新たな年を迎えるにあたり

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武田病院グループ 会長
 武田 隆男

■新たな年を迎えるにあたり

今年一年を振り返ってみますと、干支(えと)の亥年(猪年)ではないのですが、武田病院グループにとりましては例年にまして、猪突猛進の年であったような気がします。宇治武田病院の新築移転そして、介護を必要とする地域のお年寄りが医療でもより安心できるように、医療と介護の複合施設として、特別養護老人ホーム「ヴィラ鳳凰」(宇治武田病院併設)、「ヴィラ稲荷山」(稲荷山病院併設)を開設いたしました。

その他にも、患者さんの食の更なる安全と栄養管理のために、給食センター「タケダメディカルフーズサプライセンター」を新設いたしましたし、がん治療の最先端機器「トモセラピー」を関西の医療施設に先駆けて導入、また、厚生労働省も勧める予防医療にのっとった新しい外来診療が、グループ病院で展開されています。いずれも、理事長のもと、グループ全職員の結束と、絶えず前進を目指し、医療人としての日頃からの心構えの結果であると、心から感謝しています。

また、9月にはIT化の進展による電子カルテの普及、検査や手術、看護記録などの患者と医療者が共有する情報を、安全・確実に管理し、有効に活用するための方策を探る「第33回日本診療録管理学会学術大会」をホテルグランヴィア京都で開催いたしました。「患者本位の医療と診療録管理における国際協力」をメーンテーマに、シンポジウム、分科会、また、華道池坊次期家元の池坊由紀さんの公開講座「花のこころ」など、多彩な催しや学術研究発表が行なわれ、全国からの5千人が熱い討議を繰り広げました。実行委員長の専務理事をはじめとする皆様のおかげで、関係者すべての方から非常に高い評価をいただくことができました。有り難うございました。

余談ですが、当病院グループの会長として、また、日本病院会の役員として、全国大会の学会を引き受けることが多く、平成10年の「日本病院会学会」、平成15年の「日本人間ドック学会」と学会長を務めました。日本病院会の役員の先生方から、「日病関連学会開催3冠王」という言葉もいただきましたが、これとて職員の皆様の力強い支えがあるからこそ大成功を確信してお引き受けしたものです。

さて、医療界を取り巻く厳しい環境につきましては、理事長、専務理事が詳しく分析しておりますので、くどくは申しませんが、新しい年には診療報酬の3.6%の大幅削減が必要と机上の議論がなされるなど、病院運営にとって更に厳しい年になるだろうことが予測されます。医療施策の相次ぐ改悪に、充分な医療を施せない医療者のもどかしさを垣間見る思いもします。そして、マスコミも国民が安心できる将来を見据えた医療政策の必要性を暗にほのめかすようになりました。

来年の干支は「戊子歳(つちのえのねどし)」です。「戊子歳」とは、十二支の中での干支頭(えとがしら)の一つとなり、双六(すごろく)ではないのですが、振り出しに戻るわけです。医療政策も是非医療の原点という振り出しに戻って欲しいものです。

禅の書「槐安國語(かいあんこくご)」の一説に『窮(きゅう)すれば則(すなわち)変じ、変ずれば則通ず』という語もあります。試練や苦難、挫折や逆境という大きな壁が目の前に迫っても、うろたえることなく、少々のことではへこたれない強い信念と自信をもって、しっかりと気を引き締め、初心に立ち返って乗り切ることこそ肝心です。

理事長のもと全職員がより団結し、地域医療・福祉の発展のための更なる努力をお願いいたします。

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