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たけだ通信 No.97 (9月発行)

武田病院グループ会長 武田隆男

近頃思うこと

photo_kaicho.jpg【エッセー】
武田病院グループ会長
 武田 隆男

■近頃思うこと

昔から、老人の知慧を利用することが賢いやり方である。

若い頃から、年齢の高い人に色々な事を教えてもらった。自分が、高齢者になって来たところで、ふと立ち止まって考えてみると若い人に教えてあげられるものの持ち合わせが余りない。

個人であれ、家族であれ、組織に次々と知識が集約されノウハウが生れる。村の長者、長屋のおじいちゃんが若者や子供達の知識を補足してくれていた。

カラスは、鳥としては長寿であるので、経験・知識の蓄積があって、思わぬ行動をする。象は、家族や群の中で倒れた個体に特別な感情をもっていると思える行動をするそうだ。

未開発の集落では、シャーマン達が代々つたわる植物や鉱物の知識を貯ていた。こうして受け継がれた知慧や生物資源は、今、期待の新薬開発につながると注目を集める一方、その取引の国際的ルールづくりが、大きな問題ともなっている。資源の枯渇が予想されるからである。

自分自身は元気であるならば、社会のため、地域のため、病院のため、身近な人々のためにも、何か仕事が出来るオールディスト・オールドになりたい。ゆくゆく仕事をしている人々が加齢していく。

90 才後半まで生き延びた人は、その後、年をとってもアルツハイマー病になりにくい。「オールディスト・オールド」の人達の殆んどは、バールズ(ボストン文学)によれば、女性の長生き、色々と説があるが、女性のほうが健康診断や、予防接種に熱心である。自分の心身の不調を医師に訴える事が上手であり、健康雑誌を読むことも多い。

つい最近、週刊ダイヤモンドで、男の病気特集があったが、女性の健康についての本は男性よりも多いのは書店で眺めるとわかる。

加齢は人間にとって避けることが出来ない。しかし遅らせることは出来る。

平均寿命が延びたからといって、老化が防げたと思うのは間違いである。老化を遅らせることが、21世紀には、出来るだろう。しかし、老化を防いだらどうなるか、何もしない人々が増えたら困るが、増えると、国の負担が増えるということであるからむつかしい問題が起ってくる。

米国では、年齢の高い人をオールディスト・オールドと云っている。ネイティブの受けとめ方はわからないが、90才以上の高齢者といったらどうか。

各国では、65才以上の高齢者、75才以上の後期高齢者。人生の後期であるから、間違いなく、こういう表現になったのであろうけれども、若い人や、若い役人達が、無神経につくった言葉であるならば、老人は不愉快である。しかし老人の方は、この表現で動揺しない、怒らない度量が必要である。先程申した事、国の負担のことは、次の様にして、解決しなければならない。

私自身が、後期高齢者になってから、免疫が下がっている。どんな事態が起っても不思議でないということだ。私は、空腹時血糖値が少し高くなる。これは万病の元である。血糖値を正常にするために、節食を心掛けている。動物実験ではカロリー制限が長寿にさせる事がわかっている。

老人が増える事を政治は色々と問題にする。たしかに、病気の頻度は高くなる。しかし、最初に云ったように、老人は役に立つのである。社会の役に立つ老人にならなければならない。老人を賛歌するために、老人力といっている人もいる。

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要するに役に立つ老人になることだ。

今後日本が超高齢社会をうまくすすめていくか。世界は見ていると思う。

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