武田病院グループ:保険・医療・福祉のトータルケアを提供する京都の病院

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たけだ通信 No.111(3月発行)

武田病院グループ副理事長 武田道子

これからの病院 病院の格とは

111_fukurijicho_1.jpg【エッセー】
武田病院グループ 副理事長
康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
 武田 道子

■これからの病院 病院の格とは

 国民皆保険で注目されて居りますわが国は、常に世界一の長寿国を保って居りましたが、ここに来て少しあやしくなってまいりました。

 政府は消費税のひき上げ分を介護保険に当てると云って居りましたが、増税が中止されたことにより財源がなくなってしまいました。

 今後、介護の軸足は家庭へと云うことになり、老々介護をしいられるところもあり、共倒れになったり、仕事を辞めることになったり、介護死と云う悲しい例も出てまいりました。

 介護保険はきびしくなり、要支援では、介護サービスが受けられなくなる方が増加してまいりました。又、入院して居ても、いつ迄も同じ病院に居られず、遠くへ移動させられることもあり、折角、落ちついたところでと思って居られるお年寄りが、全く知らない病院へ移されることもあります。この様なことが続くと、世界一長寿国日本もころげ落ちてしまうかも知れません。この様になりますと、お年寄りは精神的に不安になってしまいます。

 病院は地元の先生から信頼され、地元の皆さんから選ばれるようでなければなりません。不安な気持ちで病院の門をくぐって来られる患者さんは、ちょっとしたことにも気になられるものです。病院へ入ってきた際、病院の壁に貼られた注意書などがバラバラだったりすると気になるものです。几帳面に真直に貼られていないだけでも、この病院は大丈夫かしらと案じる人もあると思います。掲示物は左右上下一定の間隔に貼ってあれば安心し、病院の格が上ります。傾いていたりすると不安になります。傾くというのは、やはり不吉な感じがいたします。我々の家でも部屋の中がきれいに片付いています。改めて見直すようなこともあるでしょう。私は朝、玄関に出すプランターや鉢植えをきちんと真直に並べないと気が済みません。

 さて、病院経営の根幹は良質な医療の提供とインフォームドコンセントであり、激変する医療環境の中で、今こそ病院の存亡をかけ、医療人たることを自覚し、力を発揮する時だと思います。徹底したデータの分析によって自院の強みを把握し、より専門性を深め、質の高い医療を提供出来る病院をめざした取り組みを強化して行くこと、そして、各々の病院はこれだけはどこにも負けないという特化したものを持つことです。長くコツコツと築いて来たよい評判でも、1日にして悪い評判に変わると云うことを自覚して欲しいと思います。自分1人くらい違う考え方でもよい、などと云う考え方の人が居れば、真直に進んで居る船は微妙に方向を変える結果となってしまいます。医療運営は、よい医療と経営の両輪であることを職員の皆さんが理解して下さる必要があります。過去、現在、未来に於ける病院のミッション、ビジョンを共有し、職員の皆さんが同じ目標に向って行くことが大切です。

 〝環境に適応出来たものが生き残ることが出来る〞と云うダーウィンの云葉があります。
ひとり勝手な行動は駄目だと云うことです。思いやりの心、人の手のぬくもりを感じてもらえるように、これは患者さんの安心の心につながります。

111_fukurijicho_2.jpg患者さんからは、医師の説明がよくわからない、顔を見て話してくれない、と云う苦情がよくあります。電子カルテ時代になり、仕方が無いと云ってしまえばそうかも知れません。
予約制といっても待ち時間が長いのも仕方がありません。スタッフに求められているのはやはり分かりやすい説明と気配り、思いやり、ねぎらいの云葉、励ましの云葉、いたわりの云葉につきると思います。患者さんにとって安心と信頼を感じていただけるように努めたいと思います。気をゆるめることなく、行動をゆるめることなく高い志をもって、地元の皆さんの役に立つようになることが、最終のゴールです。

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