お知らせ

南山城学園 様 Voice ~対談から見える健康管理のヒント~ vol.09

「人を支えるのは人しかいない」 従業員の健康を守り社会福祉のあり方を追求

ハイテク産業や伝統産業とのコラボレーションなど、未来を見据えた社会福祉事業の展開で全国的にも注目されている南山城学園様は、「人を支えるのは人しかいない」という考えのもと、社会福祉の担い手となる従業員を大切にされています。少子高齢化・労働者人口の減少が進むなか、同法人がどのような取り組みを展開されているのか、武田病院健康診断センター営業部の藤岡課長が同法人にお邪魔し、法人本部事務局総務課課長補佐の藤林大地様、同事務局総務課の森本祐子様にお話を伺いました。

※祐は機種依存文字 示に右

左から、藤岡、南山城学園 林 千尋氏 、森本 祐子氏 、伊藤 裕之氏 、田中 恵未氏 、藤林 大地氏

 

従業員まかせではなく幅広い取り組みで健康を支える

藤岡 南山城学園様が掲げておられる「人を支えるのは人しかいない」という言葉は、私たちの病院グループの理念とも重なり、強く心に残っています。

森本 これは法人が掲げる理念と共に、理事長が特に大切にしている考えです。ICTの進展によって業務の効率化やスピードは格段に向上していますが、どれだけ時代が変わっても、「人を支えるのは人である」という本質は変わらないと考えています。そして、利用者様を支える従業員一人ひとりが、心身ともに健康であることが、質の高い支援につながると考えています。

藤岡 とくに入所施設は24時間365日運営ですから、それを支える従業員様のご負担も大きいのではないでしょうか。

森本 おっしゃる通りです。だからこそ、健康管理を個人任せにせず、組織として支える仕組みを整えています。ストレスチェックの実施や常備薬の斡旋を行い、当法人に在籍する医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士などの専門職が、職員研修の講師を務めるなど、総合的な健康支援につなげています。

藤岡 診療所があるのも大きな安心材料ですね。

森本 はい。城陽と京都市伏見区醍醐エリアにある診療所では、利用者様の診療に加えて、インフルエンザウイルスやコロナウイルスなどの予防接種を職員も対象として実施しており、大阪府島本町など遠方拠点の職員には、予防接種の費用補助を行っています。さらに、産業医との面談をサポートするなどストレスケアも行っています。また、10名の管理栄養士が、日々の食事の栄養バランスに配慮して作成したメニューを各事業所にて提供しています。職員は、朝食200円、昼夕食400円で喫食することができます。

藤岡 食事は健康づくりの基本ですから、とても大切ですね。

森本 夜勤明けや勤務前に給食を活用する職員も多いですし、半月毎の献立から食べたいメニューの日に喫食する職員もいます。

藤岡 バランスの良い栄養摂取が行えるだけでなく、メニューを楽しむ点にも力を入れておられるのですね。

 

早期発見早期治療 組織を守る定期健康診断

藤林 何より健康維持の取り組みと言えば武田病院健康診断センターさんにお願いしている「健康診断」です。当法人は、比較的広範囲に事業所が点在していますので、巡回健康診断と来所健康診断を組み合わせています。

藤岡 職員約800名、入所利用者様約400名の規模ですので、管理される森本さんをはじめ皆様、大変なのではないでしょうか。

法人本部 事務局総務課 森本 祐子氏

森本 当法人には41の事業所があり、部署によって業務内容が大きく異なります。例えば、デイサービスは朝夕の利用者様の送迎、入所施設では利用者様の生活に合わせた変則勤務で回していますので、支援体制を維持しながら受診シフトを組むようにしています。

藤岡 入居者様の生活リズムに合わせて受診のタイミングを調整していただくのは、非常にご負担の多い業務だと感じております。

森本 当法人では、健康診断対象となる「週30時間以上、または正規職員の4分の3以上勤務するパート・アルバイト」という枠組みに関わらず、全職員を対象にしています。基本的には総務課から健康診断のアナウンスをし、各部署の管理職が受診の差配するのですが、常に支援を必要とする利用者様がほとんどですので、とくに注意を払っています。

藤岡 「人を大切にする」姿勢が、よく伝わってきます。夜勤の方はどのように受診されているのですか。

藤林 夜勤明けの受診が多いです。勤務中に絶食できる利点もあり、効率的だと感じているようです。「お腹が減った」と言いながらですが。また、夕方の4時前まで対応していただいているので、夜勤前に受診する者もいます。夕方は空いていて狙い目だとか。

森本 私も2日目の空いているタイミングを狙っています(笑)

藤岡 森本さんたちがシフトで調整されているだけでなく、従業員の皆さんそれぞれが工夫されているのですね。

森本 もちろん健診センターの皆様がテキパキと誘導して混在しないよう調整をしていただいているので安心しています。

藤岡 ありがとうございます。私たちも、現場の業務に支障が出ないよう、できる限り混雑を避けて対応していきたいと思います。健診について、従業員の皆様からはどのような声がありますか。

藤林 やはり病気の早期発見ですね。個人の結果に合わせ対応してもらっています。

法人本部 事務局総務課 課長補佐 藤林 大地 氏

森本 実は私自身も、昨年の健康診断で肺炎が見つかりました。

藤岡 今年の健康診断ですか?

森本 そうなんです。健康診断センターの保健師さんから「肺に影がありますのですぐ受診してください」と電話がありました。その日の仕事終わりに受診できるように、肺のレントゲン写真をすぐに送ってくださいました。大変ありがたかったです。

藤岡 そうだったのですね。体調の悪い中、健康診断の立合いしていただいていたのですね。今はもう回復されたのですか。

森本 はい、完治しました。健康診断を受けていなければ、もっと悪化していたかもしれません。

藤林 他の職員も健康診断において「三大疾病」と「生活習慣病」を早期に発見でき、早期治療につながりました。職員が見た目通り健康なのかどうか、私たちには分かりません。健康診断によって異常を発見し、病気の進行を止めることが出来たのは本当に良かったと感じています。

藤岡 仰る通りで、受診しただけで完結するのではなく、その先の治療までしっかりつなげていくことが重要です。それが、私たちが本当に届けたい健康診断だと考えています。

ICT技術の活用で健診を楽しみながら健康意識の向上

藤岡 健診時にご利用いただいているPHR(パーソナルヘルスレコード)アプリ「NOBORI」について、従業員の皆さまからはどのようなお声がありますか。

森本 そうですね 自身のレントゲン画像を確認できるのがすごく好評で、「これ、私のレントゲン写真!」と見せ合って楽しんでいます。 職員は、81歳を筆頭に普段から健康に気をつかっている者が多く、一様に健康診断結果を楽しみにしています。NOBORIは紙方式より早く結果を知ることができるのも人気ですね。

藤岡 それは良かったです。管理される方からは、「アプリ方式なので、結果用紙を配布する手間が減って助かる」との声もよく耳にしています。

森本 同感です。届いた健康診断結果を各部署に振り分けるのは労力を伴いますので、これがアプリで解消されるのは大きいです。

藤岡 南山城学園様の現状のNOBORIアプリの導入率は35%を超えてきました。

森本 そうなんですね!こちらからは特にプッシュせずに、希望者に登録してもらっていますが、今後はもっと浸透させていきたいと思っています。

藤岡 実は、インターネット環境があれば、外来受診時に診察室のパソコンでNOBORIの情報を表示することができます。過去の検査結果を医師がその場で確認できるため、診察にも役立てていただけます。さらに、当グループの康生会武田病院や医仁会武田総合病院などでの診療結果もNOBORIに反映でき、健診結果と診療内容を一元的に管理することが可能です。

森本 それは良い機能ですね。そうやって日頃から手軽にPHR(パーソナルヘルスレコード)に触れることは、きっと健康意識の向上につながると思います。

藤岡 まさに私たちが目指すものですね。こうしたデータの集約は、健康意識を向上させることはもちろん、例えば大規模災害となっても服薬情報が見られるなど、様々なシーンでお役に立てるのではないかと思っています。ICTツールでご自身の健康を管理するのが当たり前となる時代が、もうそこまで来ているのではないでしょうか。

 

就労支援の賃金向上のためハイテク事業とのコラボにも挑戦

藤岡 ICTなどハイテク領域で言えば、南山城学園様は、ロボット産業などとの連携も行っておられますよね。

藤林 きっかけは、障がいのある方の就労支援と賃金向上の課題でした。障害のある方のお仕事といえば下請けの内職作業など、単価の安い仕事を主としている現状があります。収入は、月平均1万6,000円ほどです。しかし、複雑な形の細かな部品を組み立てられる方もおられます。「その方に合った仕事をしてもらい、それに見合う収入を得てほしい。」という思いから、高付加価値の製品を手掛ける就労支援「工福(工業×福祉)連携プロジェクト」が生まれました。

藤岡 そうした思いで取り組まれたのですね。

藤林 大学や企業と連携し、精密機器の基板製造に取り組みました。川崎重工のロボットを活用し、人の手が必要な部分を利用者様が担い、その他の部分をロボットが作業を行ってくれるというものです。ロボットと人の協働により、高付加価値の仕事を実現しています。

藤岡 作られた基盤は、具体的にはどのような機器に使われているのでしょうか。

藤林 河川の水位計や獣害(イノシシ)対策用の檻の監視、温度計や湿度計に内蔵されるように取り組んでいます。

伝統産業・茶業を支える支援活動で地域も元気に

藤林 色々と模索するなか、地域課題の解決に貢献した事例もあります。それは、地域の伝統産業とのマッチングです。

藤岡 それは是非うかがいたいです。どのような事業なのでしょうか?

藤林 まず前段として、ここ城陽など京都府南部は、お茶の名産地でもあります。良い茶葉を育てるには、直射日光を避け、適度に光や風を通すことが重要です。葦(よし)を編んだすだれで茶畑を覆う本簀(ほんず)という伝統的な栽培方法があります。近年は効率化のため、寒冷紗が使われることも増えていますが、昔ながらの栽培方法にこだわる茶農家では、今も本簀により、品質の高いお茶づくりを続けておられます。

藤岡 大変、意味のある伝統製法を守っておられるのですね。近代化・効率化だけでなく、高齢化の問題もあるのではないでしょうか。

地域の伝統技術を受け継ぎ、一つひとつ丁寧に編まれた本簾栽培用の簾

藤林 まさにそこが課題でした。高齢化による後継者難に悩む茶農家から「よしずを編むのが大変」という声を聞き、当時の職員達が製作技術を基礎から学び、利用者様と一緒に10年以上継続して取り組んでいます。地域のニーズと見事にマッチした好事例です。

藤岡 基礎からというと、材料となる葦(よし)の扱いから、ということですか?

藤林 はい。まず、葦の特産地である近江八幡の葦農家さんから葦を仕入れます。長さを整え、城陽の工房で利用者様が丁寧に編み込んでいます。完成したよしずを納品する際は、我が子を見送るように手を振られています。当法人のよしずを使っている茶農家さんには、農林水産大臣賞を受賞している方もおられ、毎年、茶農家さんから出来上がったお茶をいただき、利用者様とお茶会を催します。利用者様が、自分たちの仕事が地域の伝統産業の一役を担っていることに、誇りを持っておられることを感じます。

藤岡 日本を代表するようなプロフェッショナルなお仕事にも関わっておられるのですね。そうした地域の課題に気づくため、日頃からアンテナを張っていらっしゃるのでしょうか。

藤林 そうですね。地域や伝統産業と関わりながら、一緒に課題を解決していく取り組みは、利用者様にとって大切なことであるとともに、私たち職員にとってもやりがいのある魅力的な仕事でもあります。また、福祉を学ぶ学生はもちろん様々な学部の学生からの興味関心も高いです。

藤岡 福祉事業を継続し、さらに発展させていくには、若い世代の力が欠かせませんよね。学生さんたちの関心もしっかり捉えておられるのですね。

森本 はい。今は「地域貢献」が一つのキーワードになっています。先ほどお話しした茶業との関わりを紹介すると、「福祉の分野で地域とつながりたい」という前向きで熱意ある声を多く聞きます。

藤林 こうした取り組みの根本には、「共生・共助の地域づくりに貢献する」という法人理念があります。障害の有無にかかわらず、皆が共に生きる地域社会の実現に向けて、法人全体で環境作りを続けていきたいと考えています。

藤岡 周囲の方が少し手を差し伸べる、その気持ちがあれば、障害の有無に関わらず、誰もが同じように暮らせる社会になりますよね。

藤林 そのためには、想いを具体的な行動として積み重ねていくことが重要です。そのうえで、利用者様の取り組みを広く発信し、地域の一員として活躍されている姿を多くの方に知っていただくことが大切だと考えています。

藤岡 本日は、従業員の皆さまの健康だけでなく、「地域全体を健康にしていこう」というお考えに深く感銘を受けました。社会福祉法人としての姿勢や、学生さんたちの意識、そして地域の未来にまでつながる、とても貴重なお話をありがとうございました。

藤林森本 ありがとうございました。

※文中敬称略

 

社会福祉法人南山城学園

https://minamiyamashiro.com/

 

法人本部

京都府城陽市長池五社ヶ谷14-1

 

■サービス事業所数

41サービス(京都府城陽市、京都府宇治市、京都市伏見区・中京区、大阪府島本町)

■従業員数

約800名

■事業内容

第一種・第二種社会福祉事業 (障害、高齢、保育、生活困窮者)

公益事業 (診療所、研修事業)

 

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