武田病院グループ:保険・医療・福祉のトータルケアを提供する京都の病院

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たけだ通信 No.89 (7月発行)

武田病院グループ会長 武田隆男

更なる工夫を

photo_kaicho.jpg【エッセー】
武田病院グループ 会長
 武田 隆男

■更なる工夫を

厚生労働省は今年、「医療提供体制の確保に関する基本方針」を改正医療法の柱として示しました。その骨格となるのが

がん撲滅
 脳卒中
 急性心筋梗塞
 糖尿病
* 救急医療
 災害医療
* 周産期医療

などを、各自治体主体で医療連携を進めていくことです。京都でも、大学病院を中心にその体制作りとキャンペーンが盛んに行われているのですが、公的・私立病院がどういうネットワークをつくり、システムはどうなるのか、何が協力でき、できないことは何か、といった枠組みが見えないまま上滑りしている感じがいたします。

当病院グループでも、グループとしての特性を活かして、たとえば「がん撲滅」に関しては、新築になった宇治武田病院に最新鋭がん放射線治療「トモセラピー」を今年4月から稼働させ、他にも自己血培養によるがん細胞治療「免疫クリニック」や、温熱療法「ハイパーサーミア」などを先行的に実施しました。がん診療拠点病院としての指定は受けてはいないにしても、地域医療機関として患者本位の医療提供のために私どもなりに前進させています。

それにしても、慢性的な医師不足と偏在化、公的病院や地域病院の崩壊といった病院経営にとって、目を覆うばかりの状況が相次いで派生しています。中でも、7対1看護配置という、看護師の募集合戦や引き抜きなど、看護実態改善の美名の下での基準ではありますが、中小病院の首を締め付けるばかりの基準であることは言を待ちません。

こういった病院運営の窮状を打開するためには、職員全員の協力がなければ成り行かなくなっているのも事実です。当病院グループでも機会あるごとに強調しているのは、「医師、事務職も、等しく経営感覚を持つように」ということです。医師だから医療業務にのみ専念しておればいい、事務職は事務能力に長けていればいい、では済まされないのです。個々人が、自分の業務を中心にこなしながらも、その周辺にも目を配る。病院運営に役立つことを発見すれば、直ちに実践できるようなシステムを構築する。このようなことを絶え間なく行わなければなりません。

過日、お茶会で「一水四見」という禅語のお話がありました。そのお話を紹介しますと、同じ物でも、見る人の心の持ち方、日ごろからの考え方の違いによって、見えるものや形、見方さえ異なるものです。その例として、禅の世界では、「同一の水を天人は瑠璃、人間は水、餓鬼は膿血、魚は住処と見る」と説いています。また、見る(視る、観る)ということは、ものの存在、形、様子、内容をとらえることですが、視覚に限らず、広く感覚を働かせて探りとらえることです。つまり、五感を働かせることが大切であるということです。

職員一人一人が五感を働かせ、日常業務プラス何かを発見する工夫と、良き情報を吸い上げることを常に心がける。それを、サービス向上に役立たせる。再度、心がけてみてください。そして、理事長のもと、グループ病院の更なる発展に尽力していただくことを期待いたします。

追記としまして、今年九月十三日、十四日の両日、私が会長を務めます第三十三回日本診療録管理学会学術大会が京都で開催されます。紅葉には少し早い初秋の京都ですが、来年、源氏物語ができて千年のプレイベントも催されています。全国より多数の参加者が見込まれています。職員の皆様のご協力をお願いいたします。

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