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たけだ通信 No.91 (2月発行)

武田病院グループ副理事長 武田道子

これからの医療

photo_fukurijicho.jpg【エッセー】
武田病院グループ 副理事長
康生会武田病院 名誉院長
社会福祉法人 青谷福祉会 理事長
 武田 道子

■これからの医療

2008年、話題の年の幕あけです。

昨年末には京大再生医科学研究所の山中教授の万能細胞 ips 細胞の発見がありました。従来のES細胞は受精卵を破壊して得た初期胚を利用していたのですが、自分の皮膚から新しい万能細胞を作り出すことで倫理上の問題はなくなりました。

万能細胞が応用されれば主な疾病の回復に寄与するとのことで、将来は、あらゆる面に貢献出来ることになります。もし、万能細胞で再生医療が成功すれば、人工透析も不要になり、糖尿病もなくなるかも知れません。

あらゆる臓器の再生や疾病の治療に役立つとなれば、大きな医療革命です。この万能細胞の研究が国家をあげて進められ、世界にさきがけて成功することで医療改革もなされ、我国の未来はあかるくなるかも知れません。現在、我国の医療給付費は2006年度、28.5兆円、このまま増え続けると2025年には56兆円になるだろうと云われて居ります。医療の高度化が進み高齢化が進みますと、医療にかかる費用が増加して行くことは当然でしょう。

昨今、医師不足でいろいろな問題が起って来て居ります。救急部門を閉じるところも出てまいりました。たらい回しのニュースもたびたび報ぜられ、医療崩壊だと云われて居ります。しかし、民間病院の医療崩壊はすでに10年位前から起りつつあったと云われ、その結果、急性期病院から老人病院へと移行して居りました。"どげんかせにゃいかん"状態です。

最近は医療の安全、倫理問題、プライバシーと医療従事者も大変な時代になってまいりました。医師不足は実際あるのでしょうか。医師のかたよりが原因だろうと思います。

病院の診療報酬のしめつけがきびしい現在、勤務医にも影響が出て来るのは当然なのです。きびしい勤務条件では、自由な開業へと踏み切る医師も多くなりつつあり、産科、小児科のみならず、今や外科も危くなって来て居ります。低医療費の改善がなければ医師不足は解消出来ないでしょう。

今、厚労省は医師の定員を増やす政策をとりましたが、医師として一人前になるのには10年位かかります。医療崩壊の一つの原因は、大学の医局頼りの医師の供給にあります。新しい研修医制度により、大学へ残る医師が少なくなり、地方への供給が充分出来なくなりました。後期高齢者がこの先どうなって行くかはわかりませんが、恐らくまだまだ増え続けて行くことと思います。現在、問題になっているのは公的病院の医療崩壊です。特に救急の受け入れが出来ないと云うことは大問題です。ここに来て政府が重い腰をあげたと云うところでしょう。

t-tsushin91.huku1.jpg救急で必要な診療科の廃止とか、縮小とか、たらい回しが常々問題になって居ります。公立病院は、廃止、縮小しても自分達の問題のみですが、民間病院の医療崩壊は 死 を意味する結果となることを厚労省はどう思って居られるのでしょうか。

高齢化が進み、高齢者の医療費が増加して来ているのは事実ですが、このような高齢化社会を迎えることが出来ましたのは、人類が長年かかって得た成果であり、現代医学の勝利なのです。

アナン前国連事務総長が、国連高齢化問題世界会議のあいさつの中で、高齢者が1人亡くなるのは、町の図書館が1つなくなるのと同じだと云って居られました。

やはり高齢者が心も体もお元気で、若者と同じように働き、楽しい生活を過ごして下さることが必要です。そして、高齢者医療は抗加齢医療でなければなりません。予防医学をとり入れれば医療費は低価格となります。

現在、入院医療の抑制もきびしく、1日単価の抑制、手術料の抑制と、すべてに抑制をかけて居ります。更に、療養型病院の廃止による介護施設化を進めて居ります。

なかなか一寛した政策は出来ないのでしょうか。歯科大学をどんどん増やして、今や歯科医師が過剰になりつつあるのが現状です。

不足すれば増やし、多くなり過ぎれば減らすと云う、行きあたりばったりの政府のやり方のように思われます。

病院経営とは、患者さんの利益の追求なのです。

高齢者をたたえる反面、マイナスの報道もあります。本当に我国の医療はどうなるのでしょうか。世界にほこる国民皆保険制度もこれでは台無しです。

G7の国の中で、日本の医療は最下位だとのことです。我国の医療は、これからどうなって行くのでしょうか。

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