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くすりのお話し

お薬との正しい付き合い方を理解していただくために、また、日々進化するお薬のことを知っていただくために、「くすりのお話し」をさせていただきます。

※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点のものであり、現在は変わっている可能性があります。

2015.06.09 肺炎球菌ワクチンの定期接種について/たけだ通信107号より

精華町国民健康保険病院
薬局長代理
下山 尚子

 今回の薬の話は肺炎球菌ワクチンについてです。
 ワクチンとは、ヒトなどの動物が生まれつきもっている免疫能力を活用して、感染症を予防するために作られた製剤のことをいいます。ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンがあり、肺炎球菌ワクチンは不活化ワクチンに分類されます。

 肺炎は、高齢であったり病気があったりして免疫力が弱まった時に、細菌やウイルスが入り込んで起こる肺の炎症で、急に重症化することもある感染症です。しかも、日本人の死因の第3位で、亡くなる人の約95%を65歳以上が占めており、高齢者にとっては軽視できない疾患です。

 肺炎球菌ワクチンは、肺炎の原因菌としてさまざまな種類のものがある中で、最も多い肺炎球菌による肺炎を予防します。このワクチンを特定の地域で高齢者に接種したところ、肺炎にかかる人が減り、他の地域より医療費が削減できたという報告があり、その結果、昨年度より全国で肺炎球菌ワクチンの定期接種の制度が始まりました。

 定期接種とは「予防接種法」という法律に基づいて市町村が実施する予防接種のことです。肺炎球菌ワクチンに関しては、今までにこのワクチンを1度も接種したことがない人を対象に、65歳以上の人に、生涯に1回、定期接種の機会を設けています。2015年度(2015年4月1日~2016年3月31日)では、今年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人が対象で、今年度中に接種した時のみ公費の助成が受けられます。2018年度までは、その年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人が対象となり、2019年度からは、満65歳の人のみが対象になります。ただし、60歳以上65歳未満でも心臓・腎臓・呼吸器・免疫のはたらきに障害がある人は公費助成の対象です。また、対象の期間内に接種しなかった場合や対象外の人は、任意接種となり全額自己負担です。つまり、対象年度に接種しないと公費の助成が受けられないことになります。

 肺炎球菌ワクチンは、毎年接種するのではなく、1度接種すると再接種まで5年以上の間隔を空ける必要があります。また、季節を問わず1年のどの時期に接種してもよいワクチンです。「自分は元気でまだ大丈夫!」と思いたいところですが、肺炎を軽く考えないで、1人1回の公費助成の機会を逃さないようにしたいものです。
(公費助成については自治体によって異なりますので、お住まいの市町村でお尋ね下さい)

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