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「オレンジ・ランプ」~認知症と共に生きる~

「オレンジ・ランプ」~認知症と共に生きる~

 

「オレンジ・ランプ」~認知症と共に生きる~

令和7年11月29日(土)、宇治市文化センター小ホールにおいて、宇治市が主催し、社会福祉法人京都悠仁福祉会 京都認知症総合センターが運営する映画『オレンジ・ランプ』(Ⓒ2022「オレンジランプ」制作委員会)の上映会と、認知症の人と共に歩む家族の話を聴く企画を開催しました。

今回上映した『オレンジ・ランプ』は、39歳で若年性認知症と診断された丹野智文氏の実話をもとに制作されています。働き盛りの時期に突然診断を受けた主人公が、戸惑いや喪失感を抱きながらも、妻や仲間の支えを得て再び自分らしさを取り戻していく過程が描かれており、その人間味にあふれた姿が観る方の胸に深い余韻を残しました。参加者の多くが、主人公の変化や夫婦の寄り添い合う姿に共感し、認知症が決して遠い存在ではないことを改めて感じていたようです。

上映後には、認知症の家族を支える立場から、実際の経験を語っていただく時間を設けました。そこでは、診断を受けた当初の不安や混乱、日常生活の中で直面する細やかな困りごと、できることとできなくなることが入り混じる中での向き合い方など、率直で重みのある言葉が語られました。参加者はそれぞれの話に耳を傾け、家族の語りに滲む現実と希望の両方を静かに受け止めていました。

参加者から寄せられた感想には、「工夫すること、出来ない事は他者にたよる事が出来る事で、当事者は生き生き生活が出来る事に感心した。周囲の人は理解と出来ない事のサポートが大切であると感じた。」「丹野さんのメッセージにあった、「今、会場にいる方が認知症になっても、生活しやすい宇治(地域)にしていくことが大事」、本当、そこですよね。」などの言葉が多くあり、映画と体験談の組み合わせが認知症理解を深める上で大きな効果をもたらしたことがうかがえます。

今回の催しは、本人の声を社会へ届けるという京都認知症総合センターの取り組みの重要な柱の一つです。また、認知症の当事者や家族が孤立せず、安心してつながることができる場をつくるという目的も含まれています。映画を通して出来事や感情を共有し、家族の生の声を聞くことは、理解促進において非常に大きな意味を持つと感じます。

京都認知症総合センターでは今後も、地域における認知症理解の向上と支え合いの輪を広げていきます。今回の上映会が、認知症になっても自分らしく生き続けられる社会づくりに向けた一歩となり、参加者の心に長く残る時間になれば幸いです。