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Iru miru 健康通信 山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一 「心臓突然死とAED」

2023/03/20 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


tamakidr_01.jpg山科武田ラクトクリニック 所長 田巻 俊一
「心臓突然死とAED」

 健康だった人が、ある日突然、命を落とす。ゴルフのプレー中に倒れ不帰の人となったとか、会議中に急死したなど皆さまの周囲でも耳にされることがあると思います。

 

 いわゆる「突然死」は予期しない急死のことで、発症から24時間以内の死亡と定義されています。原因は心筋梗塞50ー60%をはじめ、心筋症30ー35%、遺伝性不整脈10%など心臓病によるものが大半を占め、そのほとんどが「心室細動」と呼ばれる致死的な不整脈に起因するといわれています。「心室細動」になると心臓は震えるのみで血液を送り出せなくなる心停止の状態です。数秒で意識を失い、数分で脳をはじめとした全身の細胞が死んでしまいます。日本ではなんと1年で約7.9万人、1日で約200人が心臓突然死で亡くなっています。それでは、このような状態に遭遇したら、どうしたら良いのか?

 

 「心室細動」からの救命には迅速な心肺蘇生と電気ショックが必要です。電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%ずつ低下します。119番通報をしてから救急隊が到着するまでの平均時間は9.4分、救急隊や医師を待っていては命を救うことができません。その場に居合わせた「われわれ」が協力し合い、119番通報と同時に、勇気を奮って、直ちに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を開始し、AED(自動体外式除細動器)を使用することが救命への一歩となります。胸骨圧迫は胸骨の下半分のところを、5cm沈むくらい、1分間100―120回のペースで圧迫します。AEDは医療機関以外にも学校、市役所、公民館、駅、スポーツセンター、商業施設、コンビニ、ドラッグストアなどで設置されています。自宅や勤務先の付近でAEDの設置場所を確認しておくと良いでしょう。AEDの使い方や一次救命処置の技術を学ぶ講習を地域の消防署で受けることができます。AEDを用いた救命処置で突然の心停止の約半数の人が救われます。ひとりでも多く突然死から救うために、AEDの使用が当たり前となる社会をめざしたいものです。