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Iru miru 健康通信 武田総合病院 心臓血管外科 主任部長 三重野 繁敏 「大動脈瘤の予防」

2021/08/26 メディア 武田病院グループ


※医師やスタッフの肩書き/氏名は掲載時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


DSC05568_s.jpg武田総合病院 心臓血管外科 主任部長 三重野 繁敏 「大動脈瘤の予防」

 大動脈瘤って?

 胸部、腹部内の体幹を走行する動脈を大動脈と呼び直径20-30mmの太さがあります。動脈硬化などで大動脈径が拡大し、瘤(こぶ)状に膨らんだ状態が大動脈瘤です。大動脈瘤径が50-55㎜以上になると大動脈解離(大動脈壁にキズができて血管壁が裂けていく病気)や大動脈瘤破裂など生死に関わる状態に陥る危険が高まります。大動脈瘤径が拡大しても自覚症状はなく、通常の血液、レントゲン検査では発見できません。大動脈瘤の診断にはCT検査が有効です。大動脈瘤が発見されても必ず手術が必要とは限らず、発見時の大動脈瘤の状態や大きさ、患者さんの状態に合わせて治療方針が決まります。

 外科治療(手術)は何をするの?

 心臓血管外科では胸部、腹部の大動脈瘤に対して主に二つの手術を行います。一つ目は大動脈瘤に直接触れて切除後に人工血管に置き換える「人工血管置換術」です。根治性の高い方法で、約2~3週間の入院が必要です。二つ目は、「大動脈ステントグラフト内挿術」です。足の付け根の動脈からカテーテル技術を応用して、大動脈瘤内に血流が入らないように大動脈瘤前後の正常径の動脈間に人工血管を橋渡しする方法です。手術後の痛みが少なく回復も早く、約10日で退院となります。当院では大動脈瘤と患者さんの状態に合わせてこれら二つの方法を使い分け、患者さんにとって最良の治療を心掛けています。

 予防について

 喫煙と大動脈瘤拡大、破裂との関連は科学的に証明されています。禁煙を厳格に行うことが大動脈瘤拡大、破裂の予防となります。また、大動脈疾患と高血圧、肥満との関連も科学的に証明されており、減塩食や栄養管理が大切です。高血圧は放置せずに医療機関を受診して下さい。大動脈瘤は動脈硬化が原因となってなっている場合が多く、高血圧、脂質異常症や糖尿病などの成人病の管理が重要です。かかりつけ医で定期的に健診、診察を受けることが大動脈瘤の早期発見に繋がります。