武田病院グループ年報2022 第34巻
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1あるか」が伝わって欲しいと願うばかりです。 当グループにおける新型コロナウイルス感染症対応は、重症患者さんの受け入れを医仁会武田総合病院、康生会武田病院で行っているほか、発熱外来を7病院で実施しています。また、来院前AI問診を導入し、感染拡大防止に努めています。さらには、自宅療養をされる方を支援するため、病院・クリニックで在宅医療の増強も図っています。このようにグループが一丸となり、あらゆる面で体制強化に取り組んでいます。 当然ながらこれ以外の医療の強化も大きな課題です。重要3疾病(脳卒中、心不全、血管病)に対応し、年齢調整死亡率を5年で5%減少させる「ストップCVD(脳心血管病)」が展開されているなか、康生会武田病院では心不全センターを立ち上げ、また脳神経外科・心臓血管外科・循環器内科・不整脈科が協力体制に力を注ぐなど、各施設で診療科の枠を越えた取り組みを行っています。また、医仁会武田総合病院に手術支援ロボット「ダビンチXi」を導入するなど、グループ全体で「より安全」で「低侵襲」な医療の提供に努めています。 今回まとめた年報は、こうした地道な活動を行ってきた当グループの1年間を数値として示したものです。 新型コロナウイルス感染症以外でも世界は非常に不安定な状態にあります。半年以上経過しても終息の見通しがつかないロシア軍のウクライナ侵攻は、ロシアへの制裁措置によってエネルギー価格の高騰を招きました。多くの国では利上げ競争を行うようになりましたが、これまで消費が低迷していたことから日本では金融緩和措置を続けています。結果として輸入品価格の上昇と急速な円安で、今後もさらなる物価高が続くとみられます。 このように様々な障害があるなかではありますが、当グループは経営理念「思いやりのこころ」を大切に、地域の関係機関のご協力のもと、質の高い医療・介護・福祉サービスの提供に努めてまいります。引き続き、ご指導・ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 令和4年9月 澄んだ空気の良い季節を迎えました。京都の観光はこれから、という意識になりがちですが、いまだコロナ禍は予断を許しません。当グループの医仁会武田総合病院をはじめとする13の病院、京都府医師会が院長・会長の連名で「災害レベルに達した新型コロナ第7波について―重症患者受け入れ医療機関からのお願い―」と題する共同メッセージを8月15日に発出しました。救急要請数は通常時の数倍となり、搬送困難となるケースも急増しています。「救えるはずの命が救えない」のです。これまでにない赤い台紙での共同メッセージの発出に、お一人おひとりに「いかに危機で巻  頭  言武田病院グループ 理事長

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