介護インフォメーション
武田病院グループ 本部 福祉事業部 部長 小林 啓治
「平成22年度診療報酬改定から見える介護保険制度との連携について」
皆さんも記憶に新しいと思いますが、自民党が与党だった頃のお話に遡ります。厚生労働大臣の肝煎りで、医療と介護の政策立案・実施を統一された方針で行うことを目的として、厚生労働省の医政・老健・保険の3局が連絡調整する場となる『医療・介護改革調整会議』の第一回会合が平成21年8月11日に開かれた。今となっては二回目の会合が無いところを見ると、棚上げか?とも思うが話の中身については大変重要な内容であり、「社会保障国民会議」「安心と希望の医療確保ビジョン」「安心と希望の介護ビジョン」「経済財政改革の基本方針2009~安心・活力・責任~」などの報告を基に、今後の医療と介護の中長期展望のフレームとなる社会保障の機能強化の工程表が示され、2015年までの姿が示された。
中でも同時改定となる2012年のそれぞれの目標は、
【医療】
- 急性期の機能分化推進
- 地域包括ケアの推進と在宅医療の強化など
【介護】
- 医療と連携強化
- グループホーム等居住系サービスの拡充
- 24時間対応の強化等在宅介護の強化・充実など
としており、共通のkeywordは"在宅"である。
平成22年度診療報酬改定は中医協が答申に挙げた「重点課題救急、産科、小児、外科等の医療の再建」「重点課題病院勤務医の負担軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)」「1充実が求められる領域を適切に評価していく視点」「2患者からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点」「3医療と介護の機能分化と連携の推進を通じて、質が高く効 率的な医療を実現する視点」「4効率化余地があると思われる領域を適正化する視点」「5後期高齢者医療の診療報酬について」と2つの重点課題と5つの視点に取りまとめられている。これらの殆どは前段に挙げた中身が反映されている事は言うまでもない。
■今回の報酬改定における介護保険制度の関連した特徴
訪問看護では昨年改定された介護報酬との整合を図るため、2人訪問や重度褥瘡への加算を評価する他、医療保険制度でしか対応出来ないケース、末期の悪性腫瘍等の対応や特別訪問看護指示期間中の対応の条件を緩和し、乳幼児加算を新設。
退院調整加算については、対象を「65歳以上の患者又は40歳以上の特定疾病を有する患者であって、一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)又は専門病院入院基本料(いずれも特定入院基本料を除く。)を算定している患者」としており、介護保険の1号・2号被保険者と同じ条件としているところに注目です。
また、算定要件として、「調整においては専従又は専任の看護師、又は社会福祉士」としており、退院後の在宅での療養生活のサポートについて介護保険制度へのバトンタッチを意識した改定と読める。また、在宅復帰後を見越した地域連携の評価として、介護支援連携指導料が新設された。これは、入院中に医療機関の医師をはじめ、医療スタッフが退院後の介護サービスに係る情報共有をケアマネージャーと行った場合に算定できるとしており、先に実施された平成21年の介護報酬改定により、居宅介護支援費に新設された退院・退所加算や医療連携加算に対する病院側の評価と言える。その他、訪問診療・訪問歯科診療の充実はまさしく前段のkeyword"在宅"と符号する。
介護保険で言う、施設以外に新たな住まいの取り組みが全国で、様々な展開を見せる中、高齢者問題の課題として、病院以外の施設や共同住宅をも在宅とみなす方向にシフトしている傾向が顕著に見られ、本改訂内容から「後期高齢者」という文字が全て削除されている事実は2012年同時改定には介護保険制度と一本化の布石では?と考えてしまう。
本改定により、医療と介護の連携(接点)において重要な役割を果たすのは、もうお分かりになっていると思いますが、入退院調整機能等の役割を担う地域医療連携室と介護のマネジメント機能を担う、居宅介護支援事業所・施設のケアマネージャーや施設の相談員です。これらが連携の鍵を握ります。最後に、今一番必要なのはお互いの制度や役割をよく知った上で、有機的な連携を図る事と考えます。患者様や利用者様を中心においた連携を"Bridge the Gaps"の精神でより良い、安心で安全なサービス提供を!
(たけだ通信No.96号より)







