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発行通信

情報誌「たけだ通信」

武田病院グループ 本部 施設管理部 部長 環境管理責任者 久保 茂

病院・介護施設ならではの環境負荷低減に向けて

求められる医療・介護の環境負荷低減

武田病院グループでは、環境マネジメントシステムの国際標準規格ISO14001の認証を昨年12月15日に返上し、新たな段階である「ISO自己宣言」に移行しました。

自己宣言とは、「ISO14001」の規格に規定された、規格との適合を示す方法の一つです。審査登録機関の審査を受けて認証を取得する方法に頼らず、自らが規格に適合していることを宣言するものです。

もちろん、ただ宣言すれば良いのではなく、その有効性を証明する必要があります。具体的には、規格への適合を実質的に裏付ける支援文書が必要となり、「適合性評価結果」「評価者の資格」「専門能力」「認定状態の詳細」など厳格な運用基準で、内部監査を行ないます。

何故、ISO自己宣言に移行するのでしょうか。これには大きく分けて2つの理由があります。一つは、外部監査に伴い発生する膨大なマンパワーの削減です。当グループでは、10年間ISO14001を運用したことにより、内部監査による一定の質の担保が可能となっています。このため、対外部に要していたマンパワーを、本来のサービスである医療・介護に向けることで、さらなる質の向上を図る狙いがあります。

もう一つの理由は、現状のISO14001の評価は、生産現場の工程管理に基づくもので、医療・介護業界への導入に、多くの課題があることが浮かび上がったからです。エネルギー効率から言えば、24時間365日の体制で、救急の患者さんを受け入れられる体制を整えておくことは不経済な行為です。また、弱った状態の方を受け入れる病院施設、介護施設でウォームビズやクールビズのような室温管理を行なうのは無理があります。

医療・介護業界で、環境基準を導入するなら、その業界の方向性に沿った新たな基準が必要なのではないでしょうか。例えば、重度の患者さんのお世話をする為には、周囲に相応の大きなエネルギーが必要となります。治療で病状が改善すれば、それだけ必要となるエネルギーは減少するのです。エレベーターを必要とする方が、リハビリをすることで階段での移動が可能になるなど、医療・介護を提供するという主旨に添ったエネルギー削減の換算方法が必要なのではないでしょうか。

我々は今後、ISOの自己宣言を通じてこれらの課題をさらに精査し、医療・介護分野における環境負荷低減の、あるべき形を追求してまいります。

武田病院グループが展開する環境負荷低減の取り組み

CO2排出量の削減

当グループ施設では、発電に伴う熱エネルギーの有効活用として天然ガスコージェネレーションシステム(CGS)を積極的に導入しています。

一方、車両による排ガスは、2006年度から京都市の都心部(まちなか)商店街を中心とした車両による黒鉛ゼロ、NOx、SOx、CO2削減運動に賛同。「まちなかグリーン配送協議会」に参加し、エコカー導入の方針を定めました。ハイブリッド車、天然ガス車を運用しているほか、訪問看護・介護ステーションでは電気自転車(26台)も導入しています。

電気・天然ガス使用量の削減

スタッフ室の空調の温度は原則として夏28℃・冬20℃に設定し、建築設備として新築、改築工事時にはトップランナー(高効率)機器やインバター制御、デマンドカット装置を導入。照明は器具を高効率照明器具に変更し、患者様の枕等にはLEDを導入しています。

一方、各施設の外部看板は時間設定で深夜に消灯。また、血液透析の灌流液熱源を電気ヒータから給湯ボイラに変更し、熱効率を改善しています。 ガス消費量は、CGSの廃熱利用、地下水熱利用で削減しています。地下水の持つ熱エネルギーは一年を通じてほぼ一定(17~22℃)であり、市水(3~25℃)に比べて水温が一定し、給湯エネルギーが削減できます。

また換気システムは、全熱交換機の採用、老朽化した空調機の入れ替え(エコGHP)等により大幅なCO2を削減しました。

上水(井水・市水)

上水の使用量については、病棟での浸漬消毒の中止と医療器具の手洗いの中止(食器洗浄器の導入)、清掃方法の変更(オフローケーションの導入)、節水器の導入等により削減に努めています。

屋上緑化

屋上緑化
屋上緑化

四季折々の花が咲き、癒しの場としての屋上緑化は、医療・福祉機関の療養環境から考えると理想的です。土壌と植物による断熱効果により建築物の熱負荷軽減、雨水の流出緩和に加え、庭園の周囲は植物による蒸散効果が得られます。康生会武田病院をはじめ各病院、特別養護老人ホームの屋上に設置しています。


消毒液削減

消毒液削減
消毒液削減

人間の生命維持に不可欠な水を意識し、消毒液、洗剤、検査廃液等の下水への排出量の減量を図る為、手洗い方法(ラビング法の拡大)の変更、手洗い消毒液・洗剤の定量使用(ワン・ツープッシュ)の推進、浸漬消毒・洗浄から熱湯洗浄(食器洗浄器)への変更、皮膚消毒液の定量使用等を実施しています。

一方、透析治療のラインや機械の内部洗浄・内視鏡消毒など、削減することが困難な消毒液は、中和装置等を設置し、中性にしてから排出することで環境負荷の軽減を図っています。また、下水に流れる消毒液、洗剤は可能な限りBOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)の低いものを選定しています。


廃棄物の減量

使用済のダンボール箱等、不要物になるものは可能な限り持ち込ませない、持ち込まないようにしています。院内で発生する廃棄物は個人情報に配慮しながら厳重に分別を行い、本・雑誌・機密書類等の一般廃棄物はリサイクルしトイレットペーパー等に再利用しています。厨芥廃棄物はリサイクル業者により飼料や肥料にリサイクルしています。このほか、年々増加する紙オシボリに対しては、洗濯・洗浄して紙を回収しています。

また、医療材料のディスポ化、感染対策の強化等により増加する感染性廃棄物について、院内処理に向けて非焼却型熱分解装置の導入を検討しています。


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