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武田病院グループからのお知らせ

2018.06.13 すこやか健康相談 京都認知症総合センタークリニック 顧問 秋口 一郎 「認知症について」

※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。



認知症について

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京都認知症総合センタークリニック 顧問 秋口 一郎




物忘れは認知症の始まりなのでしょうか?

いえ、物忘れ、即、認知症ではありません。人の名前が出てこない、物の名前がでてこない、といった物忘れは誰にでもあります。物忘れで問題となるのは、人との約束や行事、自分の身辺に関わることを10分ごと、15分ごとと短い間隔で何度も尋ねるような、いわば、出来事わすれ、生活記憶の障害です。例えば「明日は外来だったかな?」とか、もうすでに食べたのに「きょう朝ごはんまだ食べてないな」とかですね。また、お金やお財布など、身辺の大事な物をどこに置いたか、しばしば忘れて探し回り、見つからないことを身内のせいにして騒ぐときがある、などの行動も問題です。このような物忘れがあれば、認知症を疑い、外来で検査をする必要があります。

それでは、認知症とは記憶障害だけなのでしょうか?

いいえ、記憶障害だけではありません。認知症では記憶障害以外に、注意力、判断力、実行力、言語力なども落ちます。例えて言いますと、認知症は入力や情報/実行処理、出力の障害を伴う脳コンピュータの劣化のようなものです。

入力の障害といいますのは?

入力の障害とは、本人が見たこと聞いたことが情報としてうまく脳に入力されない状態、すなわち、感覚情報処理の障害です。それにより状況把握ができにくくなります。この場合、難聴や視力障害があると入力障害は、より助長されることになります。

では画面操作や出力の障害といいますのは?

はい。次に画面上の作業の障害、すなわち、情報や演算処理の障害などで、これまで出来ていた知的作業がうまく出来なくなります。 最後に、出力の障害ですね。すなわち、行動や対処の障害です。その結果、次に、私はどうすればいい?私はここで、何をしたらいいのかわからない!! という状態となります。進行すると場当たり的な行動や問題行動もおこしてしまうのです。 このように、認知症の患者さんは統一した脳作業が出来ずに、適切な指令が出せなくなるので日常生活上の不安と緊張は想像以上に強いのです。ですからできるだけこの、患者さんの生きにくさや辛さを理解して、寄り添って対処する必要があります。

先生はこのような認知症の患者さんに対して外来でどのような対処と指導をされるのでしょうか?

まず来院時の初期診断や治療開始の時期ですが、私は、もの忘れ外来では、ちょうど小児科外来の子供さん本人とお母さん、のペアと同じように、ものわすれのある本人とその介護者・キーパーソンのペアで指導と対処を考えます。 また、外来では"認知症"という診断名は使わずに、ものわすれや、軽度認知障害と説明します。

軽度認知障害とはどんな状態なのですか?

軽度認知障害とは、今は何とか自立している。認知障害はこの後の対処次第では改善するかもしれないし、横ばいかもしれない。しかし悪くなるかもしれない、今はその入り口であるという状態です。

ではどのような対処を指導されるのですか?

日常生活については、"体を動かし、頭を動かし、人と交わるように"とまず指導します。家事、畑仕事、ボランティアなど、これまでの役割・日課があればそれを大切にし、もし、何もしてなかったら何かやったほうがいい。悪くなるとしても急には悪くならないと話します。
治療についてはかかりつけ医と連携し、適切にお薬を飲むよう話します。 また、早期からの介護導入・通所リハビリの必要性を介護者および本人に説明します。

最後に毎日家で出来る認知症の予防対策を教えてください。

薬では、まず生活習慣病の予防対策が認知症の進行を食い止めることにつながります。例えば、血管性認知症は高血圧、アルツハイマー病は糖尿病、動脈硬化症は脂質異常症をコントロールすることで進行を抑え、予防することができます。 中年と高齢者では認知症の危険因子が異なることにも注意が必要です。 中年では先に述べた生活習慣病対策が重要ですが、高齢では日常活動や虚弱予防への対策が大事です。虚弱(フレイル)対策とは筋肉・骨・内臓の強化、口腔や腸の老化対策などです。日常対策は、"頭動かし、体動かし、人と交わる"です。 実際、運動習慣や食生活改善、日常・社会活動、デイケア導入が認知症の予防治療に有用とする報告が最近、増えているのです。

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