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2017.05.10 すこやか健康相談 宇治武田病院 副院長 外科 薄井 裕治 「いぼ痔の注射治療法について」

※医師やスタッフの肩書き/氏名は放送時点でのものであり、現在は変わっている可能性があります。


いぼ痔の注射治療法について

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宇治武田病院 副院長 外科 薄井 裕治



痔を注射で治療することが出来ると聞いたのですが?

日本人の3人に1人は"痔"持ちといわれ、その多くがいぼ痔(痔核)です。 ひどくなると肛門から飛び出す脱肛となり、手術治療が必要になります。 いぼ痔には、手術以外にも凍結、結紮術、硬化療法などが行われてきましたが、効果は十分ではありませんでした。 ところが、最近では「ジオン」と呼ばれる注射治療法で、手術なしで完治するケースが増えてきました。以前からアーモンド油の注射療法はありましたが、効果は今ひとつでした。ジオンも注射療法の一種ですが、今までの注射療法とは違ってより効果が期待できるとされています。 ジオンは、中国で開発された「消痔霊」を改良した製剤で、主成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸(ALTAとも呼ばれます)です。これは炎症を起こすことで組織を繊維化させ、痔核が硬化・消退させるという薬です。 手術療法では1週間程度の入院が必要ですが、この注射療法なら1~2日で退院できます。場合によっては日帰りも可能です。

どんな痔にも適応するのでしょうか?

痔は痔核(いぼじ)、痔ろう、裂肛(きれじ)の3つに大別されます。 さらに、いぼ痔は直腸の粘膜下にできる内痔核と、歯状線より外側の肛門管の外側にできる「外痔核」があります。ジオン(ALTA)は内痔核に効果的です。 残念ながら外痔核には疼痛や潰瘍の恐れがあるので適応外です。 ジオンの対象となる内痔核の進行度は次の4段階で表現されます。 【Ⅰ度】痔核の脱出はなく、痛みもないが排便時に出血する。 【Ⅱ度】排便時に脱出するが、自然に戻る。出血・痛みも出てくる。 【Ⅲ度】排便時以外にも脱出して、指で押し込まないと戻らない。 【Ⅳ度】指で押し込んでも戻らず、常に脱出している。 このうちⅡ度以上のものは適応がありますが、Ⅳ度で炎症の強いものは手術になります。また、外痔核を合併した内外痔核では、内痔核は注射で消失しますが、外痔核は残ります。こういった場合には、手術を組み合わせることも考慮します。 内痔核のみの場合はジオンの注射で完治できる場合が多いです。 しかし、手術療法に比べると再発の可能性が高いようで、その場合はジオンを再度注射することもあります。また、内痔核の範囲が広く大量の注射が必要な場合は、治療を2回に分けることをお勧めする場合もあります。治療方針は個々のケースで異なりますので、主治医とよく相談の上決めてください。

治療はどこに行っても受けられますか。

「ジオン」の注射は四段階注射法という特別な方法で慎重に行わないと、効果も期待できませんし、注射による合併症が起こる危険性があります。 知識・トレーニングが必要と生るので、(四段階注射法)講習会を受け、認められた医師のみが行うことになっています。治療が出来るかどうかは個々の病院でお尋ねください。

副作用や合併症などは心配ありませんか

薬剤メーカーによる安全性集計対象症例(3,519例)の報告では、主な副作用は、発熱104件(2.96%)、血圧低下74件(2.10%)、肛門周囲痛48件(1.36%)でした。重篤な副作用の報告はないようで、安全性は問題ないと思われます。 当院では経験したことはありませんが、直腸狭窄、前立腺炎、痔核壊死、直腸筋層壊死などの報告がありますが、いずれも注入手技に起因することが多いように思われます。当院では大量の注射を控えておりますので、生じていないものと思われます。 当院では術翌日に退院し、1週目、3週目に受診していただいておりますが、痛みを訴えられる方はおられず、良好な結果が得られています。再発のため再注射を行った方はおられます。正しく適応すれば手軽で効果的な根治療法であると考えております。

費用について教えて下さい。

当院では1泊2日で行う事が多いのですが、1割負担の方で15000円程度です。入院日数や処置で多少変わると思います。従来の手術の場合に比して入院日数、負担もずいぶん軽くなっています。

最後に一言お願いします。

最後に、痔核は肛門出血で診断されることが多いですが、大腸癌、直腸癌でも肛門出血は起こります。その鑑別は難しい場合もありますので、痔の治療の際には是非大腸検査も行われることをお勧めします。

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