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第10回地域医療連携PAD学術講演会が開催されました

2017/08/10 インフォメーション 武田病院

第10回地域医療連携PAD学術講演会
開業医の先生らと最新医療の今を共有

  京都市内の開業医の先生とともに先端医療について研修を深める第10回「武田病院地域医療連携PAD学術講演会」(共催:康生会武田病院、下京西部医師会、大塚製薬株式会社)が7月1日、京都市下京区の京都センチュリーホテルで開かれ、60人が記念の特別講演で熱心な質疑を重ねました。

 開会に先立って康生会武田病院の内藤和世院長が、「武田病院グループでは循環器疾患、不整脈治療に全力を注いで患者さんへの対応に尽くしています。また、今年度のテーマとして『信頼の医療を地域と共に』と掲げております。そのためには地域医療に貢献されている開業医の先生と手を携えてまい進しなければなりません」と挨拶。続いて下京西部医師会を代表して、循環器内科・内科まつばらクリニックの松原欣也院長が座長を務められ、『当院におけるトルバプタン使用経験からの考察』と題して、康生会武田病院循環器センターの太田啓祐医師が講演しました。

内藤院長HP用.jpg  松原欣也先生(まつばらCL)HP用.jpg

太田医員は、武田病院での心不全患者さんに対する治療方針、うっ血予防のために利尿剤を用いる現状を報告。「特に既存の利尿剤の使用では治療に難渋した症例もあったのは事実です」と述べ、1日に80㍉以上のプロセミドを投与すると生存率は明らかに低下することが報告されるなど、利尿剤抵抗性の問題として、腎血流の低下や蛋白尿など6つの問題点を指摘しました。

  また太田医師は、トルバプタン(サムスカ)がバソプレシン受容体拮抗薬として、日本でも2010年に承認されたことを報告。「サムスカの優位性としては、従来の利尿薬は水を排泄すると共にナトリウムやカリウムなどの電解質まで排泄したのに比べて、サムスカは電解質(塩分など)に影響を与えずに水分だけを排泄することができます」と分かりやすく分析しました。

太田敬祐先生HP用.jpg 全 完先生HP用.jpg

10回目となる節目の記念特別講演会として、京都府立医科大学大学院医学研究科循環器内科学の全完・学内講師が、『PAD診療における最近の話題』のテーマで、府立医科大学で実施されている、末梢動脈疾患に対する最新のインターベンション治療について詳しい分析が行われました。
全講師は冒頭、ステントなどの治療デバイスが次々導入されている状況から、腸骨動脈の治療では、バイパス手術と血管内治療の成績はほぼ拮抗していることを報告するなかで、「ただ、バイパス治療では将来の再発など解剖学的アプローチが困難になることが問題です。また、血管内治療では足に関しては造影剤を用いないでステント留置術を行うケースもあり、腎機能悪化症例でも治療可能です」と、血管内治療の優位性について分析しました。

 京都府立医科大学循環器科で実施した症例として全講師は、大動脈閉塞によって歩行困難だった患者さんに対して、超音波で血管病変を確認しながらステントの位置をマーキングし、バルーンでステントを留置、間欠性跛行も改善した症例を画像で詳しく紹介。なかでも糖尿病の有無によって再狭窄を起こす比率が高く、TASC分類C・Dの病変のある患者さんでも、薬物溶出ステントを留置、改善した症例も示しました。

 質疑

「サムスカを継続しての影響は」「塩分摂取の制限と管理栄養士の役割について」「強制利尿の副作用は多いのでは」「腎動脈直下まで閉塞している場合にどのような対応が必要か」「喫煙者の下腿動脈への影響について」「石灰で閉塞していた場合の対応」など多くの質問が寄せられ、講演者は丁寧に答えました。

  閉式に当たり、下京西部医師会の安田雄司会長(やすだ医院院長)が、「新しいステント留置や治療法の進歩は目覚ましいものがあります。足の閉塞に悩む患者さんは最近増えており、開業医と病院の連携は今後ますます大切になると考えられます」と述べられました。

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