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糖尿病について
十条リハビリテーション病院 内科系診療部長 糖尿病センター部長 西野 和義
今糖尿病は増えているんですよね。
そうですね。最近いろんなところで言われていますね。日本人の糖尿病に関する調査をした2007年度の国民栄養調査によると、糖尿病の疑いがあるという方が全国で2210万人いると言われています。同じような調査が10年前から始まっているのですが、その10年前のデータと比べて約1.3倍に増えており、年々この増加のペースが加速しているということなんです。
糖尿病が増えている原因はなんでしょう。
いろんな原因がありますが、単にごはんを食べ過ぎているというわけではないんですね。日本人は昔からごはんを食べていたわけですから、少々食べ過ぎたからといってすぐに糖尿病になるわけではありません。そんな単純なものではなくて、原因のひとつは食生活の欧米化です。肉やハンバーグなどに含まれる動物性脂肪をたくさん摂るようになってしまったのが大きな原因ではないかと言われています。もうひとつは、自動車の普及です。戦後豊かになってからどんどん自動車が普及して台数も年々増加しておりますが、グラフで示すと車台数の増加と糖尿病患者の増加は平行に一致するのです。自動車が普及したということは、あまり足を使わなくなったということで、運動不足がクローズアップされています。結局、食生活の欧米化と運動不足になってしまったという二つの点が大きい原因なのではないでしょうか。
動物性脂肪をたくさん食べるとなぜ糖尿病になるんですか。
一番よく言われているのは、脂肪は血糖値を上げる作用があり、血糖値を下げるために分泌されるインスリンによって血糖値が下げられます。ところが、脂肪はたくさんのインスリンを必要とすることから、動物性脂肪をたくさん食べている状態だと、普通の食事よりもよりたくさんのインスリンを必要とするのです。インスリンを出すすい臓のベータ細胞が疲れてくると、血糖値が上がり、糖尿病になってしまいます。もうひとつは、ベータ細胞の力に民族の差があるのではないかと言われていて、欧米人は比較的強く、日本人を含めアジア系の民族は弱いのではないかと言われています。たくさんの脂肪を摂取する食生活をしていると、たくさんインスリンを必要とします。それに応じてベータ細胞がインスリンをがんばって出します。ところがそれをずっと強いられていますと、ベータ細胞が疲れてくるのです。日本人、特にアジア人はベータ細胞の力が弱いと言われていますから、比較的簡単にへこたれてしまうのです。そうすると、インスリンがもう出なくなってしまい、結局血糖値の上昇が勝ってしまって、糖尿発症につながってしまうのです。
人種によって差があるということは、発症する糖尿病の種類も違うのですか。
そうですね。厳密に言いますと、いろんなタイプが含まれているのですが、大きく分けますと、肥満型の糖尿病とやせ方の糖尿病といった体系によって増えています。その奥にはなにがあるかというと、インスリンの分泌能力の差ではないかと言われています。欧米人は比較的ベータ細胞が強く、なかなかへこたれないのです。欧米人は肉食が中心ですから、たくさんの動物性脂肪を食べていますが、すぐには糖尿病になりにくいのです。なぜかと言うと、インスリンがたくさん分泌されるからです。その反面、インスリンにはいろいろな作用があり、脂肪やたんぱく質などを合成させて沈着させるという作用があります。特に脂肪組織がどんどん増えてくると、ものすごい肥満になります。それに対してアジア系の民族はベータ細胞が脆弱なので、あまり沈着することがあまりなく、太る前に糖尿を発症することになるのです。日本では痩せ型の糖尿病、欧米では肥満型の糖尿病が見られますが、実際にはもちろん日本人の中でも肥満型はありますし、その逆もありますが、欧米人に比べると程度が全然違うんですね。
日本人はインスリン分泌が脆弱であるということですが、遺伝的な体質ですよね。ある程度研究も進んでいるんですか。
つい最近ですが、インスリン分泌に関しまして、分泌を弱くさせる新しい遺伝子変異の配列の違いが発見されました。この変異を持っているのがアジア系に多いということなのです。同じ日本人でも糖尿病の方とそうでない方とでは変異に差があり、糖尿になっている方のほうが変異が多いということです。変異によってインスリン分泌が悪くなるのですが、アジア人はインスリン分泌が悪いというひとつの説明になると思います。
治療はどうすればいいでしょう。
まずは食事療法ですね。インスリンの必要量は、なるべく高めないことが大事だと思います。なるべくインスリンが節約できるような食事にし、動物性脂肪は極力減らすことです。食べすぎや早食いもインスリン需要量を増やすのでやめた方がよいでしょう。もう一つは運動療法です。食事と運動の両立はぜひやってほしいと思います。運動療法は、インスリンの働きをよくしてくれる作用が認められています。同じようにインスリンが出てもよく効くようになるので、そういう意味で運動療法をやりましょう。







