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十条リハビリテーション病院 脳神経副センター長 奥村 厚

起立性低血圧について

十条リハビリテーション病院 脳神経副センター長 奥村 厚

食後急に立ち上がったときボーッとして気が遠くなり、心配になって、近くの病院を受診しました。そのとき、起立性低血圧だといわれました。起立性低血圧について説明して下さい。

寝た状態や座った状態から立ち上がったときに、立ちくらみ、めまいなどの症状が起こった場合を起立性低血圧と呼んでいます。立ち上がったときに血圧が過度(収縮期血圧で20mmHg以上)に低下した場合、脳への血流量が減少し、めまいや立ちくらみが起こります。症状が強いときには失神、けいれんを起こすこともあります。ときには動悸、頻脈などの心臓症状も現れます。また、動脈硬化の進行した高齢者の場合は、起立性低血圧にともなって脳梗塞や、一過性脳虚血発作、狭心症や不整脈などが出現することもあります。しかし、通常は症状は一時的なもので、体を横にして寝ていれば血圧は正常に戻ります。

起立性低血圧は何故起こるのですか。

健康な人では、立ち上がったときに、血圧調節の機構が自律神経などを介して直ちに反応し、心拍数や心拍出量を増加させ、下半身の血管を収縮させて、心臓へ戻る血流量を増加させます。このような血圧調節の機構が即座に反応できないか、緩徐になっている人では、急に立ち上がると、下半身に血液が貯まり、心臓に戻る血流量と心拍出量が減少し、血圧が低下して起立性低血圧が起こります。

起立性低血圧の原因について説明してください。

起立性低血圧は血圧調節の機構が妨げられたために起こり、頭蓋内に原因のあることはまれで、様々な病気、一部の薬、及び加齢による反応性の低下などが誘因となっています。次のようなことが挙げられます。

1)心臓の機能不全、例えば不整脈、心臓の弁障害(大動脈弁狭窄、僧帽弁狭など)など。
2)血液量の減少:貧血や極度の嘔吐や下痢・多量の発汗や排尿(未治療の糖尿病、アジソン病)などによる脱水。また高齢者は病気のときに脱水や下肢の筋力の低下を生じやすく、起立性低血圧を起こしやすいとされています。
3)脊髄損傷や糖尿病性の神経症状などにより、自律神経障害が起こったとき。
4)過労や大食は起立性低血圧の誘因となります。

その他、起立性血圧にはシャイ・ドレーガー症候群という起立性低血圧があります。この低血圧は自律神経症状だけでなく、小脳などの広範は運動神経系の障害による症状も現れます。

どのように診断されますか。

安静時の寝た状態と、立ち上がったときの血圧を測定して、起立時の収縮期血圧で20mmHg以上の低下を認めた場合、起立性低血圧と診断しています。ただし、診察時には、このような起立試験で血圧低下が再現できるとは限らず、日常生活でどのようなときに立ちくらみなどの症状が起こっているかという情報も重要となります。

どのように治療されますか。

先ずは原因となっている病気を治療することです。起立性低血圧の原因が治療できない場合でも、その症状を軽減したり、除去したりできる次のような方法があります。

1)起立性低血圧になりやすい人は急に座ったり立ったり、長時間立ったままでいないように気をつける。
2) 弾性ストッキングや弾性腹帯を利用して、静脈の拡張を抑え下半身に血液が貯まりにくくする。
3) 長時間安静にしていたために起立性低血圧を起こしている場合は、毎日少しずつ起き上がっている時間を長くしていく。
4) 水分を多めにとり、アルコールは少しにするか、飲まないようにする
5) 足腰を鍛える
6) グラッときたら、とにかくしゃがむこと
7) 医師の厳重な管理のもとに塩分保持の薬剤、抹消の血管を収縮させる薬剤を服用する。

などです。


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